Chapter 15 - 神のお告げ。2
翌日も、そのまた翌日も。あづは毎日のように病室に来た。潤は俺に邪険にされて気が滅入ったの
か一週間くらいで来なくなったのにだ。本当になんなんだこいつは。
邪険にしとけばそのうち来なくなると思った。それなのにあづは、来ないどころか、邪険にすれば
するほど早い時間から病室に来るようになった。
知り合って二週間が経った頃には、平日にも土日にも朝からも来るようになった。学校があるハズなのにだ。
平日は毎回朝からきてたわけではなかったが、一週間にある五日間の平日のうち三日は朝からきていた。
親に叱られたらどうするんだと思ったが、それで来なくなるなら来なくなればいいと思い、俺は平日は来るなとは言わなかった。
でも、それから一か月以上過ぎてもあづが来なくなることはなかった。
俺はあづに会うのが嫌だった。あづは俺がどんなに突っぱねても来る。そのしつこさが俺は気にくわない。それに、異常だ。――子供が学校をさぼってるのを親が気にしないなんて。
さぼってるのを知らないわけではないだろう。あづが言わなくても、先生とかから連絡が来るはずだ。――まさか、親が休ませてるのか?そうだとしたら休ませる訳はなんだ。虐待。いや、金を稼がせるためか? そうだとは思えなかった。
あづは底抜けに明るく、俺と正反対の奴だ。
虐待を受けたり、親にこき使われたりしているようにはとても見えない。それならなんで平日も朝から来れるんだ。
神様が言っていた。――これ以上関わったらろくなことが起きないと。いや、第六感が告げていた。仲良くなるなと。
それでも俺はあづを拒否れなかった。さっさと捨てればいいのに。姉のことをいったら、どうせこいつも俺を捨てるのに。どうせこいつも、親戚や同級生と同じように俺を人殺しというに決まっている。そう思うのに、俺はあづの優しさを拒否れなかった。帰れって言うくせに、先生に言って病室から追い出したりする気になれなかった。