Chapter 8 - 神殺しの救世主/多崎礼
「オレには背中を預けられる仲間がいた。いつだってオレは一人じゃなかった。守りたい者もいたし、守ってくれる者もいた。けどオレは仲間達を守ってやれなかった。だからオレにはもう仲間を持つ資格はねぇんだって──そう思ってた」
その考えは理解できる。失いたくないから仲間など作らなければいい。奪われたくないなら何も持たなければいい。守らなければならないものなど、最初から受け入れなければいいのだ。(本文より)
世界が死へと向かう中、その運命に抗おうとする者たちの決意と絆を描いた冒険譚。
その予言は、決して外れない。
預言者に予知された運命。世界を救うため、ノトは守護者を集めて邪神に立ち向かう。守護者と名前の繋がりを頼りに彼らを探し、救世主とは誰なのか、運命は変えられないのか、ノトたちは予言に立ち向かっていく。怒りも恐れも涙も忘れてしまったノトがもう一度笑えるように、守護者たちは彼女を守ると誓うのだ。
ノトは強い。芯がしっかりとしていて、己の成すべき目標と意志を、その胸に抱いている。強いと同時に、彼女は危うくもある。予言の全てを守護者たちに明かさず、一人で抱えて解決しようとする傾向にあるからだ。そんなノトの思惑は守護者たちに看破され、結局全て彼女の望み通り、とはいかないのだが。
仲間とは、絆とはなんだろう。
ノトの強さが、彼らを結ぶ絆が羨ましくあり、眩しく映る。大事を成すために前を見据え続ける意志と、彼女の脆くも見える危うい強さ、他人に心を砕く彼女の人柄……そんな部分に守護者たちは惹かれたのだろう。たとえ敵であったとしても、ノトは立場だけでその人を判断せず、大事を成すためのその人の役割を見極めるのだ。ノトは頑固で、自分勝手で、人思いで、だからこそ周りの人々は彼女を守りたくなるのだろう。それが、彼らの絆なのだ。
ノトが初めての感情を表し、その先に続く未来が、幸せなものであることを願ってやまない。