Chapter 19 - 家庭教室/伊東歌詞太郎
人は、人として扱われない時に、どんな気持ちになるか分かるか?
大勢の人の前で人として扱われないと、どんな気持ちになるか分かるか?(本文より)
ひょんなことから家庭教師となった巧が、様々な事情を抱える生徒たちと出会い、問題に向き合っていく物語。
過程で教室とはこれいかに。
家庭教師となった巧が出会った生徒は、教えるのが勉強ばかりではない。「いい親」に向けて子どもの要望を話したり、生徒から教えてもらったり、深夜に人の家の屋根に上ったり。世間一般で呼ばれている家庭教師がどのようなものかは経験がないので、想像の範疇でしか語れない。けれども、授業や受験、試験などに向けて勉強を教えているのだろう、ということはわかる。間違っても、誘拐犯まがいのことをしたりはしないだろう。
助けられなかった彼。どこかに居場所があれば、一人でも味方がいれば、彼は救われたのだろうか。
必要なときに必要なことを口に出せる、行動ができる、そんな人がうらやましいのだと思う。あれをしていれば、こうしていたならば。たらればの話ばかりしていても現実に反映されはしないが、どうしても頭をよぎってしまった。終わったことを悔いていても仕方ない。見えること、聞こえること、手の届くこと、自分のできる範囲でやれることを。
それ以上を望んで嘆くのは傲慢だ。