Chapter 18 - わたし、定時で帰ります。/朱野帰子
「……孤独だから、じゃないでしょうか」(中略)
「急激に変わっていく世の中についていけなくて、会社に居場所がなくなるんじゃないかって怯えてて、でも誰にもその気持ちを言えなくて、みんな怖いんです」(本文より)
何が何でも定時で帰ろうとする結衣と、曲者ぞろいのチームメンバー・仕事ができない上司とのお仕事小説。
昭和時代の古い考え方が嫌いで、何が何でも定時に帰ることを実行する結衣。あの手この手でチームメンバーの追求から逃れる手腕はさすがのひと言に尽きる。彼女一人が行っているのであれば非難囂々だが、後輩にも残業させないように鍛えていくという手腕がまた素晴らしい。
残業はするかしないか選ぶものではなく、しなければならないもの。残業ありき。
その空気が残っている会社は少なくないだろう。労基法で当てはめれば正しくない数値にまで跳ね上がってしまう。残業しないためにどうしたらいいのか。まず考えるべきは根本的な部分ではないか。残業した者が偉いのではない。なぜ残業が発生するのか。いかに時間内で仕事を終わらせるために工夫を凝らし、生産性を上げていくか。仕事のスキルの向上とは、そういうものではないだろうか。
自分の経験や感覚だけで慣れてしまうのは怖い。現状改善のために何を目指していくのか、目標を達成するためにどう方向修正していくのか。浮かんだ考えを実行して、慣れて、修正して、改善案を出す。その連続だろう。
とは言ってみても、言うは易し行うは難し。自身を振り返ってみても簡単でないのは重々承知している。けれど、一歩踏み出したことでそこから新しい判断が生まれることは少なくない。当事者意識を持ち、模索し続けていくことが大事なのかもしれない。