死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。

Chapter 21 - ちゃんと繕って。1

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「朝か……」

 気が付けば朝になっていた。いつの間にか泣き寝入りしていたらしい。

 目を擦って涙を拭っていたら、また頭痛がおしよせてきた。

「痛っ!」

「赤羽くん、大丈夫っ!?」

 ナースコールを押すと、すぐに看護師と穂稀先生がきてくれた。渡された薬を飲むと、徐々に頭痛が収まってきた。

「はぁ……」

 頭を押さえながらため息をつく。

 自分は病に侵されていることを今更のように実感して、冷や汗が出た。

「薬、多めに持ってきたから棚の上に置いておくね。また痛くなったら飲んで」

 病室の端に置かれた棚の上に薬と水の入ったコップを置いて、先生は言う。

 棚に入ってるのは、替えの病衣と自殺した時に着た服だけだ。寝るためのベッドに、医者や見舞いに来た人が座る丸椅子、ゴミ箱、窓、それに花瓶。――必要最低限のものしかここにはない。遊べる道具もなければ、大好きな姉もいない。そんなせまい世界で、俺は死んでくのか……。寂しいな。そんなこと俺が考えちゃダメだけど。死ぬしかないんだし。

「赤羽くん、病室に監視カメラをつけてもいいかな? またいつ症状が起きるかわからないから、念のために」

 先生が真剣な顔で言う。

「……いいですよ。先生、昨日はすいませんでした。その本も」

 ゴミ箱にある本を顎で示す。

「大丈夫だよ。急に病気のこといった私も悪いからね。少しは落ち着いた?」

「……はい」

「そ。ならよかった。赤羽くん、もう一度聞くけど、本当に手術はしなくていいの?」

 先生は首を傾げ、心配そうに俺の顔をのそきこむ。

「……しなくていいです」

「よく考えな。今はしなくていいって本気で思ってるのかもしれないけど、考え方が変わることもあるから。ね?」

「……分かりました。後先生、俺が病気なの親戚には言わないでください。……たぶん、早く死ねって言われるだけだと思うので」

 先生は目を見開いて俺を見た。