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廃ビルは、三階建てだった。壁がところどころひび割れている。窓も割れているところがある。それに、地面にビルの周りの地面に、瓦礫が散らばっている。

「弱かったな」

「ああ。本当に弱かった」

 ビルの真下にいた少年達が、笑いながらそんなことを言っていた。青い髪を肩まで伸ばした男と、茶パツの外ハネした髪の男だ。彼らの服は、ところどころ血がついていた。喧嘩でもしたのだろうか。

 ……人いるし場所変えるか?

 でも、また探すのもめんどくさいな。 

 ……知り合いじゃないんだし、別にいいか。

 俺はビルの中に入った。

 中はほこりくさくて、そこら中にゴミがあった。

 階段を三階まで上がり、屋上のドアを開けて中に入る。

 飛び降り防止の柵を飛び越え、遥か真下にある地面を見た。瓦礫だらけで足場が悪い。平らなところなんてほとんどない。三階建てだとちゃんと死ねるのか不安だったけど、これならたぶん問題ないだろう。

 あいつら、必要なかったな。

 ……早く死のう。俺なんていらないんだから。

 俺は屋上から飛び降りた。

「んっ」

 窓から射す陽の光に目がくらんだ。

 ここはどこだ……?

 俺はちゃんと死ねたのだろうか。

 目を開けて辺りを見回す。

 俺は白いベッドの上に病衣を着て寝っ転がっていた。腕には点滴がされている。足は動かない。

 ちょっと動かそうとするだけで、猛烈な痛みに襲われた。どうやら、両足を複雑骨折しているようだ。

 ……折れてるのか。

 痛みがあるなら、ここは天国じゃない。

 ……病院か?

 俺は死ねなかったのか?

「すーすー」

 真横から寝息が聞こえた。

 ベッドの横に置かれた丸椅子に、青年が座っていた。