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Chapter 2 - 【10月31日 日曜日】

シノギカンナ2020/12/05 17:15
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昼過ぎに起きた。居間をのぞいてみると、父親はソファで眠っているようだった。

今日は女を連れ込んでいない。静かでいいや、と思った。

 

普段声が聞こえてくる時は、毎回“相手”の声が違った。

「父親」としての彼と、「向井雄輔」としての彼を、彼自身は別物と考えての行動だろうが。

僕としては、母をそっちのけにして自分の欲求を満たす彼を、心底軽蔑していた。

 

その日は大雨が降っていて、昼間でも窓からの光はほとんど入ってこなかった。

ばたばた、と窓を打ち付ける雨の音を聞きながら、昨日のたらこおにぎりを食べる。

ぼんやりと、昨日見た有本先生の姿を思い返した。

─まあ、先生も一応、大学生だし。

あの姿を見て幻滅でもしたのか、市立図書館へ行く気は起きない。

金曜日に出された宿題は終わらせてしまったし、土曜日のぶんの宿題が出ていたとしても内容は知らない。

 

小林にラインでメッセージを送って雑談でもしようと思ったが、いつもはすぐ帰ってくる返信が30分待っても来なかった。面倒なので借りた本を少し読み、再び眠りについた。

 

夕飯を作りに居間へ向かうと、父の姿は無かった。

仕事なのか、遊びで外に出たのかは知らないけど、うるさくないのは心が休まる。

カップラーメンでも食おう。