平凡リーマン、転生したら最強でした。〜人類史上初の神級魔法使い《ゴッドマジシャン》として敬われてます〜
Chapter 1 - 平凡リーマン、魔法学院へ
アルフェ先生との特訓が始まり7年の月日が流れた。今日は彼女との特訓最終日。卒業試験の日だ。
「試験かー。学生の頃も試験嫌いだったんだよな」
なんてことを呟き試験会場である、俺だけの魔法練習場に訪れた。
「サンくん。試験内容は、使える|全《・》|属《・》|性《・》の上級魔法だよ!気合入れてね!」
「お手柔らかにー」
と言い詠唱を始めた。しかし、俺は大きな勘違いをしていた事には気づかなかった。時すでに遅し。
「この世の五属性の精霊よ。我は我の魔力と引き換えに大地を引き裂く力を所望する。|全属性複合放射《オール・ブラスト》」
俺は、勘違いに気づかないまま全属性を複合して撃ったのだ。すると1キロ先にある的に当たりはした。
だが、10キロくらい先にある山まで貫いたのだ。それを見ていたアルフェ先生はこの世の物では無いものを見てしまった様な顔をして、こう聞いてきた。
「えっ!?サンくん今何したの」
「はい!全属性を複合した魔法を使いました」
「そ、そんな事出来たの?」
「はい。つい先日、火と風の複合魔法に成功した為今回も同じ要領でやってみたら出来ましたけど……」
「……嘘。私でも三属性複合までが限界なのに。よし!文句なしの合格だね!今までよく頑張ったね!私よりすごい魔法使いになってるじゃないか!」
「ありがとうございました!アルフェ先生のおかげです!お世話になりました」
試験が終わり、お礼を終えて帰ろうとしたら
「ちょっと待って!」
と呼び止められた。なんだろうと思い振り返って話を聞く事にした。
「どうしました?」
「サンくん来週魔法学院の試験よね?」
「はい。そうですけどそれがどうかしましたか?」
「これ持っていって。実技試験の先生に渡してね。中身はみちゃダメだからね!それとこれもあげる」
と渡された物を見ると、一通の手紙と新品の袋のような物をもらった。
「この袋ってなんですか」
「それはね、|魔法の袋《マジック・バッグ》って言う魔道具だよ。その中にどんな物でも収納できるから便利だよ!合格祝いだから、大事に使ってね!」
「なるほど。ありがとうございます!嬉しいです!それでは早速この手紙を入れてみます」
そう言い、魔法の袋に手紙を近づけると吸い込まれるように入っていった。これは凄いなんてことを思っていると、頬に少し暖かく、柔らかい感覚が伝わってきた。
「えっ……」
「しっかり私の特訓について来てくれたご褒美よ」
等と今にもハートマークが付きそうな言い方をされたのもあり、すごく恥ずかしくなった。その気まずい空気の中、|移動魔法《ワープ》で家に帰った。
◇
家に帰った俺とアルフェ先生は、最後の家庭教師の日ということもあり母が作ったご馳走に驚いた。
「「おぉー!!!」」
と二人して言ったものだ。するとそれを見ていた母は、
「沢山あるから先生も遠慮しないで食べて下さいね〜」
と言い持って来ていた食事を机に並べた。
「「「「いただきます」」」」
と両親、俺、アルフェ先生で口を揃えて言い食べ始めた。この日の食事の時間は、間違いなくこの世界に来て一番美味しく、楽しかった。
俺はこの日の食事を忘れる事はないだろうと思いつつご飯を終えた。
◇
アルフェ先生の特訓が終わり一週間が経ち、魔法学院の入学試験の日がやってきた。実技は自信あるが、筆記がとても不安でしょうがないまま家を後にした。
「行ってきます」
「頑張ってね。サンくん」
「うん」
と少しの会話を母として地図を見ながら、学院に向かった。
「えっと、ここがセブンデイズ魔法学院だよな」
と呟いていたら、後ろから
「そうだよ!君も受験生?お互い頑張ろうね!僕はチューイス=グレイ!君は?」
って声をかけられてびっくりしたが、振り返り答えた。
「教えてくれてありがとう!俺はサン=マクドレイよろしくね!チューイス」
「チスでいいよ!長いからね!僕もサンって呼んでいいかな?」
「わかったよチス。俺もサンでいいよ!じゃ会場に行こうか」
と答え会場に向かった。
会場に着いたらすぐに筆記試験が始まった。筆記試験の内容を見て俺は驚いた。大事な事だからもう一度言おう。驚いたのだ。
なぜって?試験内容が簡単過ぎだからだ。一番最初の問題が簡単なのは分かるが、最後の問題も簡単過ぎる。
大問10-2.火はなぜ燃えるのでしょう。
「(小学生の理科のテストかっ)」と思わずツッコミを入れたくなってしまった程だ。兎にも角にも、無事筆記試験も終わり実技試験会場に移動した。
「筆記難しすぎだよあれ。そう思わないサン?」
「そ、そうだね」
「特に最後の問題。火はなぜ燃えるのでしょうってなんだよ。わからねぇよ」
「ハッハハー」
予想外な事を言われた為、思わずそう答えてしまった。この世界でも試験の後はこんな事言い合うんだな。
とくだらない事を考えていると、実技試験の会場に着いたのであった。