Share - 朽ちた恋

Re:over

Writing

朽ちた恋

いつだって始まりは唐突で、無意識の中でコップへ水を注いでいたかのように、急な出来事であった。溢れんばかりの「好き」という感情が現れたのだ。それから半年経ち、私はその場面を目撃する。 無知でいたかった。でも、無残にも事実を突きつけられる。過去の出来事の辻褄が合っていく。これを踏まえて証明完了と言わないのは、ただの夢見る愚か者だ。 ちょっとした期待だって、初めは火薬の一粒に過ぎない。しかし、塵も積もれば山となる。そうして何かの拍子で爆発する。爆発は花火のように美しくて、一瞬だ。爆発の後には燃え切った火薬の匂いだけが残る。 虚無感は心を食い散らかして穴を開ける。切なさは首を締めて食事を困難にさせる。悲しさは気持ちを黒く染めて感情を塗り潰す。後悔は脳内を支配して全身の機能を停止させる。 自分が自分でいられなくなる。自分に対して辟易してしまう。いや、正確には自分の運命に。その辺に投棄できるものでもない。生まれた時から貼り付いている。それが運命というもの。 でも……。でも、私は抗おうと、抗えると、思ってしまった。前進に犠牲は付き物。進歩に伴う退化は宿命。もしもこの法則が崩れているのならば、ここは既