本多 狼2020/09/20 12:14
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 翌朝、早く目が覚めたメルは、アウラたちを起こさないように、少し離れたところでナイフの練習を始めた。

「せっかくジンクに教えてもらったんだから、腕が落ちないように努力しなきゃ」

 

 自分の肩幅ほどのしっかりした木の幹へ向かって、集中してナイフを続けざまに投げる。

(こンなニはヤくオこスんジゃネえヨ)

(ヤだ~、スっピんミなイで!)

 

 もう一度。

(いキてルやツにナげロっテ!)

(ヤ・さ・シ・く・シ・て・ネ)

「集中できない……」

 

「投げる順番、変えてみようかな?」

(ヤだ~、コ・わ・イ~)

(なンでオれガあトなンだヨ、っタく)

 

「はぁ……なんか役に立つこと話してくれないかなぁ」

 

 とりあえず、言葉遣いの悪いほうを「一号」、ぶりっこなほうを「二号」と呼ぶことにして、メルは練習を切り上げた。

(かッてニおコしトいテ、もウおワりカよ!)

(ヤだ~、ヨごレてル~。はヤくフいテー!)

「練習、もうやめようかな」