「う〜ん...」


 私は背伸びをして起きる。


 朝日が眩しく心地が良い。


 ベッドから降りて辺りを見回すと、私はあることに気がついた。


「あれ...、ここって夢で見た...、っていうか、夢のまんまの世界じゃ...!?」


 私が慌てていると、母さんが入ってきて私に飛びついてくる。


「カリンちゃん!、もう動いて大丈夫なのね!、母さんは嬉しいわ、カリンちゃんがまた元気に動けるようになってくれて」


 本当に喜んでいるようで、彼女の表情は笑顔に満ち溢れていたが、何が起きているのかわからない、私の心境は震えている。


 母さんと名乗る女性も本当かどうか疑わしい。


「うわぁぁぁぁぁぁ!!」


 私は叫び声を上げて勢いよく外の世界に飛び出した。


「ちょ..ちょっとカリンちゃん!!、どこ行くの!?」


 母さんの手を振り切って玄関らしきドアを発見し、外に出てみると...。


「どこ...ここ...?」


 そこはまさしく、ライトノベルで見たような世界だった。


 獣人のような人がそこら中にいて、四足歩行の竜ぽい見ためのやつに馬車を引かせている。


 私は走った。


 もしかしたら、知っている人がいるかもしれない...と。


 だが、一日中探して見た結果、ここは完全に別世界だと言うことを徐々に理解していった。


 携帯やテレビなどなく、代わりにあったのは、原理不明の魔法と呼ばれるものだった。


「わからない、何が起きてるのか全然わからない...」


 公園のような場所にあった、トイレ内の鏡で自分の顔を確認すると、見たこともない人物になっていた。


 茶髪の髪に小さい体、年に換算すると6〜8歳くらいの少女...。


 わけがわからずに、公園のベンチで頭を抱えていると。


「カリンちゃん!!こんなところにいたのね!」


 母さんが息を切らしながら現れる。


 必死の形相で私を探していたのだろう、汗だくの姿を見て確信した、この人がカリンと呼ばれるこの体の母さんなのだろう。


 そうでなければここまで追って来たりはしないと思う。


「さ、日も暮れてきたし帰りましょう、カリンちゃんはきっと疲れたんですよ、一日ぐっすり眠ればきっと良くなるわ」


 私は母さんから出された手を握って家に帰る。


 帰ってきてみると、自分の家が思ったより大きいことに気がついた。


(私が以前暮らしていた家よりも大きい...)


 劣等感を抱きながら、しばらくはこの家に厄介になることを覚悟した。