Share - 文学の狙撃者

北川 聖

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文学の狙撃者

「チッまた落としやがったな」 彼は激しい怒りと共にはらわたが煮えくり帰った。雷が落ちた。 今回が最後と思っていた。それならば冷静に粛々と計画を実行するまでだ。猟銃に拳銃、弾数百発。磨き上げられた日本刀。 彼はある出版社の前に車を停めた。中に入っていく。受付が止める。 「すみません、御用は何ですか」 「用はね、こういうことだよ」 彼は日本刀で受付の首を刎ねた。夥しい血液が噴き上がる。 彼は構わず社長室に行った。警備員が止める。彼は至近距離で拳銃で胸を射抜いた。ロビーは大混乱である。調べておいた社長室に入る。社長の顔も知っている。猟銃を出して社長の額に銃口を当てた。 「おい、誰一人逃げるんじゃない。動いたら撃つぞ」 彼は拳銃を一発放った。 「今回の三木文学賞の選考委員と編集長を連れてこい」と言って女子社員を一人出させた。 「さもないと社長の頭は吹き飛ぶ」 警察が何台ものパトカーでやってきた。 女子社員は警察官にその言葉を伝えた。 警察の方針は既に決まっていた。誰一人中へ入らせないことだ。もちろん一人も犠牲者を出すわけにはいかない。 編集長と選考委員の二人が駆け寄ってきた。ドア越しの会話とな

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