人食殺

Chapter 6 - 第五話 兵士の育成

ウルリン2020/11/07 23:03
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 「これより入団試験を開始する。今までは剣さばきで判断していたが昨日の門兵が殺されたことや、最近の兵士が全く強くないから、この私が育成方法の変更を決めた。今回は科学者の槙場が開発した殺人ロボットと戦ってもらう。この殺人ロボットは反乱が起きたとき対民として活躍してくれる。殺人ロボットの強さは…私よりは弱い。なお殺人ロボットと3分間決着がつかない場合また殺された場合は入団を認めないとする。」


 騎士長パルンは500人の前にたち入団試験について説明した。


 「今年は500人か…毎年、人数が減ってるな、殺人ロボットに勝てるのは何人でるか楽しみだな」


 ニック王は王座に座り片手にワイングラスを持ちながら喋っていた。


 「私の開発したロボットがついに役立つ時が来ましたか、まだ未完成な部分があるので万が一の暴走対策も…」


 「それでは1番目の者は、闘技場の真ん中に立つのだ」


 「こんなこと聞いてない殺人ロボット何て…」


 挑戦者とは民から騎士・兵士になりたいもののことを言う。


 「ウガギガ、ニンゲンコロス、コロス」


 殺人ロボットは二刀流であり、切れ味は勿論、人間の肉をえぐり取れやすい形をしている。挑戦者が使えるのは普通の剣のみ。


 「ひ、ひぃー」


 挑戦者は足がすくみ手は震えていてとても戦える様子ではなかった。それを見ていた殺人ロボットは自ら近づいて人間に騙る。


 「オマエハムカッテコナイノカ、ギガガギ」


 呟きと共に挑戦者の胸に剣を刺した。その剣は引き抜くと同時に臓器までも引きちぎる。臓器が飛び出た状態でも何とか、最後の力で起き上がろうとする挑戦者たが殺人ロボットは刺すことをやめることなくむしろ刺すスピードが速くなっている。既に死んでいてもお構い無しだ。


 「シ、シネー、ガギガガギ」


 「槙場、あの殺人ロボットは設計ミスか?少しやりすぎであろう。あれでは挑戦者に恐怖を与えているようなものだぞ。」


 槙場はニヤニヤしながら言った。


 「しかし、もし奴らの肉となれば体は喰われもっと酷い姿になるでしょう、これくらいがちょうどいいと思いませんか?」


 「…」


 「それでは2番目の者、闘技場の真ん中に立つのだ」


 「怖い、はぁはぁはぁ」


 怖くてでも震え全く戦える状況ではなかった、それでも勇気を振り絞り前へ走る。


 「コロス、コノゴミメ」


 殺人ロボットは剣を投げてきた、スピードは420kmを超えていた。挑戦者2はそれをぎりぎりかわした。


 「とりゃあぁぁぁぁーー」


 剣を伸ばし声を上げたが、あと1歩のところでもう片方の剣で頭を真っ二つ切られる。脳みそ、左脳と右脳がきれいにみえた。


 「ニンゲンヨワイ…ギガギガ」


 「これは勝てる奴はいなさそうだな…ワシなら余裕だが」


 ニックなら余裕だろう。


 「それでは3番目の者、闘技場の真ん中に立つのだ」


 「こいつはなかなか強そうな相手だなひゃあっはぁー」


 剣を舐める、この男は、元殺し屋で成功率100%である、牢屋にいたが王からの命令により兵士になれば解放するとの約束を受けていた。


 「ようやく面白い奴が現れたか、殺し屋対殺人ロボットは見物だな」


 「それでは早速行こうかひゃあっはぁー」


 瞬足で殺人ロボットまで走る、殺人ロボットは今度は最初に剣を投げてこなかった、挑戦者3が間合いに入るのを見て剣を振り下ろした。その振り下ろした剣の上に立ち、一本の剣を挑戦

者3が振り落とす。


 「ギガギィィィィィィィ?」


 殺人ロボットもこれまでの挑戦者より強いことを感じたのか体が止まる


 「この殺人ロボット大したことないな、次で仕留めるひゃっはぁぁー」


 そういいながらもうひとつの剣を落としにかかる、殺人ロボットは負けると思ったのか、間合いの距離で一か八かの剣をを飛ばしてきた、スピードは500kmを越える。もちろんよけるのは不可能、心臓に突き刺さる


 「ぐはぁー、そんなのありかよ…」


 大量の血が噴き出す。すでに殺人ロボットは両手に剣を持っていない為、挑戦者3の勝ちとなるが、殺人ロボットは動き出した。


 「コロス、ギガガギ」


 地面に落ちるている剣を拾い挑戦者3のお腹を何度も何度も突き刺さす、闘技場は血で染る。


 「騎士長殿、挑戦者3の勝ちなのになぜ止めないのですか?」


 兵士はあまりの残酷さにパルンに止めるように言った。


 「奴はすでに心臓を刺されている、止めても死んでいるのだよ、仮に生きていたとしても殺人ロボットの剣が刺さるやつなど兵士として必要ない」


 「そんな無茶苦茶な…」


 「パルンよ、これは厳しすぎないか?私でも今のはよけられないぞ」


 兵士長マラリアはあまりの無茶苦茶なやり方をやめさせるようにパルンに投げかけた。


 「マラリア、奴らはいつ攻めに来るかわからないんだ。わかってくれ即戦力の兵士ではないとだめなのだ。」


 「パルンどうしてそうなっちゃたの?昔はあんなに優しかったのに」


 マラリアとパルンは同期の兵士だった。共に入団し、共にこれまで何十年戦った。しかしいつも王様から勲章を貰うのはマラリアだった。パルンは無敗なのになぜか貰えていなかった。その怒りなのかパルンが勲章を手に入れてからこうなった。


 「すべてお前のせいだ…そうだろうマラリア...お前もそいつに殺されるといいさ」


 パルンは長い髪をひっぱり上から闘技場へと投げ入れた。


 「きゃあああああーーー」


 マラリアは落とされた衝撃で骨は折れているだろう。


 「エモノオチテキタ、コ、コロス、ギガガギ」


 殺人ロボットは、血の海を進み剣を向けて向かってくる。


 「パルン、お前は何をしている、槙場、あのロボットを止める方法はないのか?」


 「分かりました。止めます。」



 マラリアは未だに倒れたまま、殺人ロボットは間合いに入り剣を振り下ろす。騎士長パルンは満面の笑みで見届けマラリアに声を飛ばす。


 「シネーーーーーーーーーーー」


 血が吹き飛ぶと同時に殺人ロボットは停止した。