Chapter 7 - 第六話 肉の中の肉
暗黒界にてーーーーー
「ムシャムシャムシャ」
「まじぃぃーーこの右足美味しくない、子供の柔らかい肉が喰いたい」
レックは右足を不味そうに食べていた。
「この串目玉は何だ、新鮮さが全くないではないか」
クロが持っていた串目玉はドロドロしており白色から黄土色に変色していた。
「この脳みそはいけるな、甘い」
ナードは脳みそを舐め回した。今食べているのはこの前送られてきた新鮮なものだった。
「足りぬ、足りぬ、この量の肉で、しかも不味い、俺たちは、人間ごときに舐められているのか、食肉庫の分際で、許さんぞニックめ、もう少しで子供の柔らかい肉も来たはずなのにな…約立たずの雑魚が…」
レックは怒りテーブルに並べられていた肉を地面に叩きつける。
クロはレックに提案した。
「レック様、いっそ食肉庫を襲いましょうよ、新鮮な肉が食えますよ」
「何百年も前に約束をしたが、最近はこんな肉だけとは、もう限界が近いぞ」
約束というのは昔、人類の王と話し合い、ここを食肉庫とし人肉を提供するから殺さないでくれと約束を交わしたのだ。それから人類も暗黒界軍も増えつづけ今の状況にある。
「私が王と直々に交渉してきましょう、従わない場合は街の隅から隅まで全ての肉を食べるんです女、子供、構わずに…」
ナードは早く肉が喰いたくてたまらなかった。
「もし王が条件をのまなかった場合、大人全て殺し、子供だけを捕獲し家畜にするのはどうだ、そのあと子供を作らせ、それを食べるのだ、素晴らしいと思わんか?」
「流石レック様だ、子供の肉食べ放題」
クロは肉食べ放題に喜んでいた。皆ヨダレが垂れている。
「ではおじゃは人間界に行きます」
暗黒界から王都までは時間がかかる。
「肉喰いたいな…とりあえず子供だ、ちょっとくらい喰ってもいいよな」
ナードはヨダレを垂らしながら暗黒界を飛び立った。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ナードは人間界に到着した。
「お前は何だ…」
門兵は見た事の無いものを目にした。勿論人間ではない、口からはヨダレがベトベト垂れていた。目はギョロっとしている。人間界でもこの怪物のことは極少数の人しか知らない。
「美味そうな肉だな暗黒界から飛んで何も喰ってないんだ、喰おうかな我慢できない」
「お、おいぜ、絶対に門を開けるなーーーき、騎士長様に知らせるんだ」
恐怖に満ちた声でなんとか入れさせないように必死だ。それを聞いたもう1人の門兵は、馬に乗り急いで王都に向かった。王都では現在、闘技場を行っている最中だ。
「騎士長パルン殿大変です」
「何事だ、入団試験の邪魔は許さない」
「南から怪物が来ております」
「まさか、こんな早くに…一旦闘技場は中止とする」
「これは大変だ」
「バレてしまったか」
ニックと槙場は思い当たるようなことは勿論あった。
「か、怪物?」
民たちは驚くばかりだ。
マラリアは血は出ているが、心臓でなく足に剣が突き刺さっている。
「いててて、はぁはぁはぁ」
パルンの脳に衝撃がはしる。
「俺は何をしているんだ」
「マラリアを誰か病院に運べ、そして私と共に手の空いている騎士と兵士は南へ向かうぞ」
「まて、ワシとパルンと槙場だけでよい他の者は待機だ」
皆は王様の命令に従った。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ここはどこなのパパ、ママ…」
「肉が食べたいよ、肉、肉ーー」
桜は食欲が抑えられない。ようやく目を覚ましたが目は赤く口からは唾液、肉が食べたくて暴れている。隣で治療を受けている肉の臭いが堪らない。