人食殺

Chapter 4 - 第四話 救出(槙場編)

ウルリン2020/10/25 00:08
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 「ニック王、大変です。科学者たちの家族による反乱がおきて、科学者である槙場まきばの家が燃やされ槙場と家族の安否は不明です。そして南では大人3名が殺され槙場の娘である桜は大男に連れ去られた模様です。」


 騎士長パルンは王に急ぎで伝えた。


 「そうか…まずパルンは街へいき民への制圧を任せる、桜は任せておけ」


 「はっ!急いで向かいます。」


 パルンが部屋から出た後、王は独り言を呟いていた。


 「大男とは…そんなでかいヤツこの国にはいない。そうなると暗黒界の奴らか…なぜ奴らがこの国(壁内)に侵入しているんだ。くっ…暗黒界にとりあえず連絡を取るしかないか。」


 ニックは独り言をぶつぶつ言ったあと槙場が開発した特殊な装置を用いて暗黒界との連絡を取った。


 「これは、これはニック何用かな?肉の提供かな?」


 特殊な装置で応答したのは暗黒界の王レックだった。


 「どういうことだ、私の街に暗黒界の奴が侵入し子供を連れ去ったそうではないか!」


 「あーあいつか、言うことを聞かなくてなー押さえようがないんだよ。」


 「この前50人分の肉を送っただろ?お互いの契約のはずだ。全ては生きるための…」


 「そうだな、すまない奴は帰ってきたら即殺すとしよう」


 「連れ去った子供は返してくれるか?」


「子供か…いや子供の肉は特別だ、私が頂くとしよう。それでは失礼するそニック」


 通信は途絶えた。


 「くそっ。あの子はいずれこの世界を救う物になるはず、あの子の父親(槙場)のように、ここで手放せば人類が本当に救われるのは何千年後になるのか、私は槙場と約束をしたのに…私が奴を始末しに行くしかないか…早くしなければ暗黒界に逃げられたら終わりだ。」


 ニックとレックの王同士の会話は終わり街では騎士長パルンが制圧にかかっていた。


 「皆の者、今すぐ槙場の家の前から立ち去れ、さもなくば王の命令に反したとみなし死刑とする」


 「あれは、騎士長パルン様…」


 「なぜあの方がきてるの」


 「お前らー逃げろー」


 騎士長パルンを見ると、街の人たちは一斉に立ち去っていった。


 騎士・兵士賞を取った者は、1年間勝負に負けたことのない無敗の人しか貰うことが出来ないのだ。つまりこの国で1番強いことになる、そんな奴に挑む者は滅多に居ないのだ。


 「よしお前ら家に入るぞ」


 騎士長パルンたちの部隊は槙場の家(全焼)に侵入し安否確認を行った。


 「パルン様、この焼け方だと生存者は居ないと思われます。」


 「探せっ槙場は我々の未来がかかっている。奴がいなければ平和はない。」


 「そこまで槙場に価値があるのでしょうか」


 「そうだ。お前たちは分からないと思うが、我々の希望であり未来だ。」


 「…」


 「それならなぜ民は槙場を殺そうとしたのですか。民たちへ伝えるべきです。」


 「伝えたら終わりだよ…」


 「…」


 「騎士長パルン様、骨が見つかりました。」


 「まさか、槙場のか…」


 「骨は粉々になっており槙場の骨か分かりません。恐らく民たちが骨を見つけて粉々になるまでは踏みつけたのではないかと…」


 「そこまで恨まれるとは、我々もいずれ制圧不可能になるかもしれないな、捜索を続けるぞ」


 「パルン様こちらへ来てください」


 パルンは兵士に呼ばれた方にいくとそこには床下がなにやら開きそうな感じだった。


 床下へ続く扉を無理やり破壊し中を見た。


 「だれだっ」


 中からかすれた声が聞こえた。


 「槙場なのか?」


 「その声はパルンか」


 「槙場、生きてたのか、良かった!王も喜ぶだろう、この世界はお前なしでは滅んでいたからな」


 「それより桜と妻は?」


 「残念だよ、君の奥さんは粉々の骨が残り、桜は大男に連れ去られたそうだ」


 「うぅぅーどうしてそんな」


 槙場は涙をこぼしていた。


 「桜は王が何とかしてくれるはずだ」


 「ぜっ絶対助けてくれ桜だけは…桜こそ最後の希望だ」


 それを言うと槙場の意識は消えた…


 「おい槙場、おい」


 槙場は人工血液と人工肉を開発したから勲章を貰っていた。勿論実際に血液採取は行うが、吸血鬼は何万を超える数がいる我々人類は何千人しかいないのに足りるわけがない、そこで槙場は吸血鬼の中でもトップ7人には本物の血を普通の吸血鬼には人工の血液を与えている。暗黒界にも同様の手口で行っている。それを開発した槙場を失えば人類は終わりだ。槙場を殺そうとした人や民たち数多くの人たちは誰も事実を知らないのだ。槙場は王と仲がいいから勲章を貰ったとみんな思っている。この事実を知っているのは極僅ごくわずかな人たちだけである...