又来たの? 医者って言っても案外暇なものねぇ。
え、私の話をもう一度聞きたい? この間もしたでしょう、本当に医者も暇なのねぇ。
そうよ、この間も話したけれどあの男たちを殺したのは私よ、嘘を付いてもしょうが無いじゃない。どうやって殺したかって? 又その話し、何回も本当に良く飽きもしないわねぇ。この間も言ったけど身体を重ねた後、安らかに寝ているところに首をロープで思いっきり閉めるの。皆んな目を見開いて、
「何で……」
って言うのよ、可笑しいわよね? そこまでしないと愛している事にはならないわ。
えぇそうよ? 今でも皆んな愛しているわ。
私の愛し方は可笑しい? 何処が!? だってそうし無いと皆んな私から離れていくわ……分から無いじゃないかって? 私こそ分から無いわ、何で皆んな離れていられるの? いくら愛してるって言われても心の中までは見え無いわ、だから心も身体も一つになる為に私は殺すの。皆んな私の中で生きているわ、愛しい私の恋人達。
え、分から無い事がある?
何故皆んなの目をくり抜いたって? 私以外の人を死んでも見ない様によ。口を縫ったのもそうよ、誰も私と喋らない様によ。貴方、本当に医者? もう少し女心を勉強した方がいいわよ。死んでいたら話せないって、分からないじゃない。死んでも私のものよ。
初めて人を殺したのはって? 知ってるでしょう、母さんよ。
一番私を拒絶した女、もう私の事を殴れないし身体を売って金を作れとも言えない。ざまぁみろだわ、私の人生をめちゃくちゃにしといて絶対に幸せになんかさせない。
それじゃぁ何で泣いてるのかって? 分からないわ、あんな女殺してせいせいしてるのに涙が出るの……貴方医者でしょ? 分からない? 愛されたかった? あの女に?
そうなのかしら……分からない、私は只愛したかったのよ。
不思議な話しよね、あんなに愛していた恋人達の顔は段々思い出せなくなるのにあの女……母さんの顔だけは忘れないのよ。
さぁ、私の話しはもういいでしょ?
良く見るとハンサムねぇ、どう私を愛してみない? 最高の快楽と永遠の愛を誓うわ、いかが?
そう……じゃぁその恋人を永遠に愛してあげることね、さよなら。