どうしてこうなったのだろう――
「いやぁぁぁぁぁぁッ!!!」
「ほぉら! 今からこのロウソクがあなたのココに――」
マジで意味わからん。行きたくもなかった異世界に転移した挙句? 転移した先が拷問場?
ついてなさすぎだろ……。
俺は露出度MAXのお姉さんに追い込まれながら考える――
マジで俺さっきまでコンビニでレジやってたのに……。なんでこうなった? 俺はなんでここに来れた? てか俺拷問されるなんて嫌だよ?
お姉さんがヨダレを垂らし始めたのを見て俺は悟った。
こりゃダメだ、と。
もう俺は無機物になろう。
もう何も考えなくていい。
大丈夫お前はよくやった。
このままお姉さんに好き勝手してもらおう。
17年間、俺、いや、大久保陸! よく頑張ったな! お前は偉いよ!!
仲のいい友達、いや親友もできてさ……彼女だって出来…………ん?
彼女?
「さぁさぁさぁ! 早くあなたの苦しむ顔見ぜでぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」
狂気に満ちたお姉さんが俺のアソコにロウソクを近づけ、首元に噛み付こうとした時だった――
よくよく考えたらさ、俺の友達みんな可愛い彼女いたのに俺だけいなかったよな? え、何これ、理不尽すぎね? あーなんかイライラしてきた、やばい、なんか……。
まだ全てを諦めたくない自分がいるわ――
壁に背中をピッタリとつけ、逃げ場を失った俺は、目の前のお姉さんの目を睨みつけるなり、心が勝手に叫んでいたッ!
「誰かァァァ! 助けねくれぇぇぇッ!!」
「……?」
噛んだ――
直後俺がタスケネクレという緊急離脱魔法を覚えたというのは秘密である。
もう察しのいい君たちなら分かったはずだ――
そう。
俺は滑舌が悪く詠唱が出来ない分、とんでもない魔法を量産してしまう体質らしい――