激神2020/05/30 11:06
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 天候は快晴上空は雲一つ見当たらない、太陽のような恒星から光が燦々と降り注ぎ青々した木々と色鮮やかな花々を浮き上がらせている。

 植物は地球のものとほぼ変わらない、赤、青、緑、黄色や紫様々な花々が咲き乱れている、チューリップのようなものでもはなびらが一枚でできているものやタンポポのようだが針のような花びらを持っている花もある。

 マザーの計算でわかっていたこととはいえかなり生物の進化も地球に似ているようだ。

 ただ、大きく地球と違うところを上げると太陽となる恒星が二つあるということ、そのわりには気温が地球に比べて低いこと。この星で一番高温な地域でも摂氏24℃である、そして一日が30時間あり夜はそのなかで3時間しかない。

 かといって寒すぎるということはなく山頂など特殊な環境でなければ0℃を下回ることはないのである。

「よし、まずは周囲から調査しよう!ついてきて。」

 エリカはサポートでついてきた陸上用ドローンに呼び掛ける。

 それはバギーのような形をしており車輪は樹脂でできているキャタピラで走行する、車体の両脇には採取用のマニュピレーターが4本搭載されており、後部にある保存用ケースに採取物を収納できるようになっている。

「了解いたしました。」

 AIが応答しエリカに追従しながら周りにある植物を採取していった。

 エリカは防護服に装着してあるセンサーを起動し、周囲の空気中や土壌に含まれている成分を分析、有害でないことを確認する。

「花粉や土などには問題はないと。」

 それからしばらく周囲を見て回った後に携帯用の小型スコップで土を掘り返し微生物なども採取していった。

 範囲を徐々に広げ花畑を囲んでいる木々のところまで行き樹皮を採取したところでドローンに寄りかかり休憩をすることにした。

「生き物に違いはあるけれども、大きく違うということはないわね。」

「そりゃあよかった、はるか昔に信じられていたようなタコ星人みたいなのはごめんだ。」

 ロバートはため息交じりに語りかける。

「でもそういうのもこの広い宇宙では存在するでしょうね、それに私たち調べたのはまだ『ここだけ』なのよ?この星に何がいるかわからないわ。」

 イアーナはロバートを少し脅かそうとしてるのかからかうように返答した。

「たしかにな、こう異次元を俺たちは調査するようになったんだ、帰ったらそういうのがいてもおかしくはないわな。」

 ロバートが笑いながら答える。

「でもそれだけ新しい発見があるということは私たちにまだ可能性があるということを示していると思うわ、未知に遭遇するって結構楽しみじゃない?」

 エリカはそういいながら周囲を見渡す。

「未知との遭遇にしても危険なものとは関わりたくないわね、何か近づいてるわ。そんなに大きくない。」

 イアーナはエリカに忠告しながら周囲を警戒した。

「わかってる私もさっきから様子をうかがってるけど・・・あの争ってた種族かしら。」

 生体反応が近づいてくる方向から見えなくなるように木にエリカは隠れると、ハンドガンを右手に持ち安全装置が外れていることを確認する。

「あれ以外に知能を持ってる種族とかいてほしくはないけど、ドローンを展開させるわ。」

 エリカはポーチから1個卵型のドローンを取り出し空中に投げた。

 すぐにドローンが卵型から変形し、生体反応があったほうへ向かわせる。

 うっそうと茂る木々をドローンは素早く回避しながら飛行し、それはすぐに対象をとらえた。

 距離は約500メートル、 やはりあの争いをしていた種族の様だが先ほど見た者たちよりも体格は小さい。

「子供かしら?こんなところに一人で?」

 ドローンを茂みに隠すように指示を出し、エリカは対象が来るであろう地点の死角に移動し息をひそめた。