Chapter 16 - 河野霧子の発芽エピローグ
目隠しを取られた親友と画面越しに目が合った。
ハッとしながらも私は自然と微笑んでしまう。
回り道のように彼女の『彼女自身』に振り回されながらもやっと之葉は望んだ人を手に入れたのだ。
私以外の理解者を得たことは少し寂しくはあるけれど、それを祝福したいと心の底から思う。
目を背けたくなるような暴力。
それを望み、ある種強要している女の度し難さに傷つき困惑しながらもそれでも好きであるが故に応えようとする男。
その葛藤、滑稽さ、もはや喜劇に近い悲劇。
でもそれだからこそ私の網膜に映るその行為は美しいともいえるかもしれない。
恋愛なんて当人達、それ意外から見ればそんなものだ。
だからこそ愛の証として薬指を折られて倒れこむ親友に心を痛めながらも私は画面越しに呟く。
「指を折ってもらえて本当によかったね」