詩「母の台所」


有原野分2025/03/04 10:09
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・詩人会議2025年1・2月号に掲載された作品です。 ※2024年9月の作品です。 読んでいただけると幸いです。 いいね、スキ、フォロー、シェア、コメント、サポート、支援などしていただけるととても嬉しいです。 これからも応援よろしくお願いします。

詩「母の台所」

料理の好きだった

高齢の母から

電話があった


古くなった台所を

リフォームしようと思っている

IHと

ガスで迷っている

どっちがいいと思う?


母はずっとガスを使ってきた

だからぼくはガスがいいと思った

しかし 母も年だ

いつ認知症になってもおかしくはない


ぼくはIHをすすめた

掃除が楽だし

なにかあったときも自動で止まる

高齢者にはいいのではないかと


すると母は

あと二、三年でいい 

自分の手で作ったものを食べたい

それだけだと言った


認知症になったら

すぐに施設に入るつもりだから

最後の道楽だと思って

台所を新しくしたいだけだと


ぼくはその言葉を聞いて

コロッと意見が変わってしまった


ガスにしよう

お母さんは

ガスのほうが似合ってる


電話が切れた後

ぼくは久しぶりに

母の手料理が食べたくなった

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