いぶさん2021/03/17 12:49
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『クソッ! 何体居るんだ!?』

hunter隊員はうろたえながら銃を構える。隊員全体に不安の色が見える。

『何体居ようがやる事はいっしょだ! 行くぞ!!』

先陣を切ってfireが走り出す。



『え、……ええ!』

『お、……おう!』



サイコキネシス、ワープは続く。

『オラァ!!』





「ボワッ!」





fireの能力で、集団の前に居るゾムビー7体が一気に燃え上がる。



「ゾム……(あぁ)」

「ゾゾォ……(あつい……)」



『(私も、やらないと……)ハッ!!』

超能力で、8体のゾムビーを浮かび上がらせるサイコキネシス。

『早く! 撃って!!』

『あ、ああ……』

「ガチャ」





「タタタタタタタタ!!」





サイコキネシスの一声で、hunter隊員が銃器を使いゾムビーを撃退していく。

しかし――、

(マズいな……。この量だ、直接の攻撃である超能力を使う訳じゃない俺らは不利だ)

ワープは不安に思う。

ボディアーマーは……。

(一対一の接近戦専門の俺だ……。邪魔にならないだろうか……?)

一歩踏み出せずにいた。





『ワープ! ボディアーマー!!』





『!!』

『!?』



fireが叫ぶ。

『ちんたらちんたら何やってんだ!? ヤツらの群集を見ろ!! 真ん中付近から外れた隅のヤツがこっちに向かってきてるぞ!! 数は少ない!! やれるよな!? てか、殺れ!!』



『お……、おう』

『ああ!』



ワープとボディアーマーは身構える。

そして――、

「シュピン」

ワープがゾムビーの目の前まで瞬間移動してきた。次に、



「ズダン!」



持っていたショットガンでゾムビーの頭を撃ち抜いた。

「ゾゾォ!!」

その後ろにいたゾムビーがワープに襲い掛かる。

しかし――、

「シュピン……」



「ゾォオオ!?(きえた?)」



ワープは瞬間移動して、ゾムビーと距離を置く。

(ヒットアンドアウェイ方式で行くか……)

ワープの戦い方は定まった様だ。

一方でボディアーマーは――。

『ふん!!』

「ゾゾォ!!」



「バシャアア!!」



特殊スーツと自らの身体のみで戦っていく。

「ゾゾォ!!(くらえ!)」

『!』

ゾムビーがボディアーマーに襲い掛かる、瞬間――。

「タタタタタタタタ!!」

「ゾ! ゾゾォ!!」

蜂の巣になっていくゾムビー。



『!?』



『ボディアーマー!! 思う存分戦ってくれ! 援護射撃は任せろ!』

『ああ!(有り難い)』

hunter隊員はボディアーマーを鼓舞した。

また一方でfire、

『オラァ!!』

「ボワァッ!!」



「ゾォ……(あぁぁ)」

「ゾムゥ……(あついぃ……)」



超能力を使い、ゾムビー達を炎に包んでいく。

『クッ(これだけ離れてたんじゃあ、威力が出せねぇ。それに、もっと攻撃範囲を広めねぇと……)』

じりじりと足を進めていくfire。

『この数を! 相手にできねぇ!!』

ゾムビーの大群との距離を5m程にした。

『これで……いいだろ!? オッラァアア!!』





「ボッガァ――!」





大爆発を起こすように、炎が上がった。



「ゾォ!!(あぁぁ!!)」

「ゾムゥ!!(あついぃ!!)」

「ゾムワァ!!(いたいぃ!)」



炎の餌食になっていくゾムビー達。

『凄い……これなら……私も負けてられないわ!! ハッ!!!!』



「ブワッ」



超能力でゾムビー達を浮かび上がらせるサイコキネシス。

『動きを封じたわ! 今よ!!』



『ハッ』



「タタタタタタタタ!!」



動けなくなったゾムビー達を、hunter隊員は狙撃していった。



「ボワッ!」

「バシュッ!」

「ズダン」

「ブワッ」



fire、ボディアーマー、ワープ、そしてサイコキネシスはそれぞれの技を全力で放っていく。戦況は順調に思えた――が、



『ハァ……ハァ……』

『……』

『ゼェ……ゼェ……』

『フー……』



全力の超能力は、スタミナを大いに使う。その為、4人の体力は、じわじわと蝕まれていった。

『ハァ……もういい! 少し休憩だ!!』

fireはゾムビーの大群から距離を置き、座り込んだ。

『ちょっとぉ! 何やってんの!?』

サイコキネシスは呆気にとられる。

『hunterたちも居るだろうが!! 少―し休むだけだ!』

『もう!(私はあんなコトしてられないもっと頑張らなきゃ)ハッ』



「ブワッ」



数体のゾムビー達を浮かび上がらせる。

しかし――、

『サイコキネシスさん! 銃弾を補充しなければなりません!!』

『うそ……』

その時、動きを封じられたゾムビーの内、数体が、サイコキネシスに顔を向けてきた。



「ゾム……」

「ゾム……」

「ゾム……」



そして――、



「ゾムバァ!(くらえ!)」

「ゾムバァアア!(いけ!)」

「ゾムバァ!(くらえ!)」



『! あ……』



サイコキネシスは体液を顔面に喰らった。



『! おい!』



「シュピン!」

それを目にしたワープ、即座にサイコキネシスの元へ行く。

『大丈夫か!? サイコキネシス!!』

サイコキネシスを抱きかかえる。

『もう……ダメみたい……。あなたに殺されるなら本望だわ。お願い……。撃って……ム……ゾム……』

意識が少しだけ残っていたサイコキネシスだったが、即座にゾムビー化する。

『! ……』

「ガチャ」

ショットガンを構えるワープ。そして――、



「ズダン」



サイコキネシスの命は断たれた。瞬間――、



「ゾムバァアア!!(おまえもだぁ!!)」



『!!』



「バシャアア!!」

意気消沈していたワープに、襲い掛かるゾムビーの体液。瞬間移動は間に合わない。



『……ゾム』



「シュピン」

『何!?』

hunter隊員の前に瞬間移動した、ワープだった者。ショットガンを放つ。



「ズダン!」



hunter隊員の頭は弾け飛んだ。



『何だぁ!?』

『ワープ隊員がぁ!!』



「シュピン……ズダン!」



『がぁああ!!』

超能力とショットガンをを使い、次々とhunter隊員を襲うワープ。

『おいおいおい。何だありゃ?』

座り込んでいたfireはようやく立ち上がる。そして、状況を確認。遂に動き出す。

『(ワープがやられたか。それにしても、ゾムビー化しても超能力が使えるとは……)な!!』



「ボワッ!」



『!!』

fireはワープが手にしていたショットガンを焼き払った。

「……ゾム」

「シュピン」

瞬間移動するワープ。hunter隊員の前に現れる。

『!? うっ』



「ゾムバァ!」



「バシュッ」

体液を吐き出すワープ。

『あがぁああ……ゾム……ゾム』

隊員はゾムビー化した。それを見ていたfire、呆然となる。

『おいおい、獲物をぶっ壊してもこれかよ?』

『!!』

ボディアーマーもその事態に気付き、前線から退き、ワープへの対応を最優先した。



「シュピン……シュピン……シュピン……シュピン……」



瞬間移動を繰り返すワープ

『これじゃあ狙いが定まんねぇ……』

弱音を吐くfireだったが、ボディアーマーは冷静だった。

『(ゾムビー化して、動きが単調となった……。規則性がある……)そこっ!!』





「ゴッ!!」





ボディアーマーは渾身の右ストレートを放った。



「バシャアア!!」



ワープの腹部に命中し、それは弾け飛んだ。

『ヒュー、やるねぇ』

fireは感心していた。上半身と下半身が分断されたワープ。



次の瞬間――、



「シュピン……」



上半身だけが、ボディアーマーの上方向に瞬間移動した。

次いで――、

「ゾムバァ!」

「バシュッ」

ワープは体液を吐き出す。



ボディアーマーを、体液が襲った。