回避とサイコとツトム外伝~ゾムビー~

Chapter 21 - 第二十一話 ゾムビー過多

いぶさん2021/03/08 13:01
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「くっ……作戦変更だ! セツナ、サケルは南方の通路へ行き、3時の方角から来るゾムビーを迎え撃て! また! 隊の半分はそれに加勢。残り半分は、ここに残って川に居るゾムビーを攻撃だ!」

爆破は再び指示を飛ばす。



「ラジャー!」



「タッタッタッタッタッ」

移動を始める隊員達。

「(さて……私もそろそろ行くか……)バースト……」

「ボッ!!」



「バシャアアアアアア‼」



水面が、ゾムビーごと激しい飛沫を上げて爆発する。爆破が言う。

「橋や川の整備を壊しては、戦いにくくなるのでな、川の真ん中を狙ってやった……全員、川の端に居るゾムビー達を狙撃しろ! ヤツらを川から上がらさせるな!」

「ラジャー!!」



「タタタタタタタタ!!」



銃声が鳴り響く。

――一方で、川南方の通路。



「ズバァアア!」

「ダッ……バシャアア!」



歩いて来るゾムビーの群れを抜刀が斬り、逃隠はタックルを喰らわせて倒す。

「ゾム……ゾム……」

それでも尚、3時の方角からぞろぞろと湧き出てくるゾムビー達。

「くそ、キリがねぇ……」

抜刀が言葉を漏らす。

「なんダ? その弱気発言ハ。俺はまだまだ余裕だゾ?」

逃隠が軽く挑発する。

「んだとぉ!? こんなやつら、5分で全員叩き切ってやらぁ!!」

挑発に乗る抜刀。

「……ふン」

逃隠はそっぽを向いた。

「抜刀隊員! 逃隠隊員! 少し下がっていて下さい!!」

狩人隊員の一人が叫ぶ。



「!」

「!」



「ザッ」

二人は道の両端に飛んだ。

「タタタタタタタタ!!」

隊員達が銃器を発砲する。



「ゾォオオ!(いたいぃ!)」

「ゾ!(ぐ!)」



狙撃され、崩れ落ちていくゾムビー達。6人による狙撃で、一遍に6、7体のゾムビーが葬られた。

「道を開けました。今の内に進んで下さい!」



「おウ!」

「サンキュー!」



隊員の言葉に、返す逃隠と抜刀。



――再び、道頓堀川。

「リジェクト!」

「バシャアアア‼」

水面が飛沫を上げる。飛び散るゾムビーの肉片。



「バシャ! ……ザバッ! ……ザブン……」



次々と肉片は川へ落下していった。みなもに波紋が幾つか出来る。波紋が全て収まった頃、爆破が口を開く。

「……終わったか……。念のため、隊員の内、3名はここに残って警備するように! 私とツトム、残りの隊員は南方の通路へ急ぐ!」

「ラジャー!」

「タッタッタッタッタッ」

南方通路を走る一同。辺りにはゾムビー達の残骸が無数に散らばっていた。それを見て、言う主人公。

「こっちにも、結構な数が居たんですね」

返す爆破。

「……そうだな、だがこちらへ向かった隊も、うまく戦ってくれている様だな」

「ええ……」

そのまま走る一同。暫く走ると、その先に抜刀、逃隠を含む数名の狩人隊員達が佇んでいた。

「どうした!? 皆!!」

近くへ寄り、爆破が言う。



「ア……あレ……」

「あ……ああ」



逃隠が何か建物の方を指差し、抜刀がゴクリと息を吞む。

「ん?」

爆破も逃隠が指差した方向を確認する。

「ゾム……ゾム……」

「ゾ……ゾ……」

そこには、かに〇楽の看板のかに(模型)に群がる、3体のゾムビーの姿があった。



「アレは……かに……?」

「かにだ……」

「あア……かにダ……」



爆破、抜刀、逃隠が口々に言う。

(本店のかには、ちょっと前に通り過ぎたが、ここにも……そうか! ここは東店!!)

爆破は思いを巡らせる。すると、

「パシャッ」

またしても逃隠がおもむろに写真を撮る。

「こら! だから止めんか‼」

爆破は再び注意する。

「ははハ……つイ……」

頭を掻きながら言う逃隠。

「リジェクトォオオ!」

主人公はゾムビーの内の1体にリジェクトを放つ。



「バシャアア!」



弾け飛ぶゾムビー。

「ギシ……ギシ……」

揺れるかに。



(かにがァ――――!)



怯える抜刀と逃隠。

「スマシさん! 見ている場合じゃありません! ヤツらを倒さないと‼」

主人公は言う。

「あ、ああ……そうだな。……バースト!」



「ボンッ‼」



爆破は残り2体のゾムビーごと、かにを爆破させた。



「かにがァ――――‼」



「ズズン……パラパラパラ」

かに〇楽の看板であるかに(模型)がバラバラに壊れ、落下していく。

「あア……かニ……」

逃隠がショックを受けている。抜刀が口を開く。

「気に病むな……アレは……食べられない……!」

「ケ、けド……!」

思わず口を開く爆破。

「何をやっとるんだ! キサマらの寸劇に付き合っとる暇は無い! 進むぞ‼」



「ハ、はイ!」

「お、おう!」



焦る二人。すると、

「ゾ……」

「ゾゾ……」

通りの3時の方角から、ゾムビー達がぞろぞろと姿を現してきた。

「来たな……全員、銃を構えろ!」

爆破の指示で、狩人隊員達が銃器を構える。

「……撃てぇえ!!!!」



「タタタタタタタタ!」

爆破の号令で、銃を発砲する隊員達。



「ゾ?(なに?)」

「ゾゾゾ?(いたい)」



銃弾を喰らうゾムビー達。暫く発砲は続く。

「シュ――――」

発砲が終わり、辺りに煙が立ち込める。暫くして煙が消え去ると、ゾムビー達が居た方向がしっかりと目視できるようになった。

「!」

爆破が目を見開く。そこには幾つかのゾムビーの残骸と、それをよそに平然と立ち尽くすゾムビー2体の姿があった。

「……やはりここにも居たか……石の……ゾムビー!」

爆破がつぶやく。

「!」

即座に、爆破は通路の奥の方に目をやった。更にゾムビー達が、奥から現れてきたからである。

「まだ来るか……では、ここで試しておく必要があるみたいだな。保管小隊、例の物を」

爆破が保管小隊に指示を出す。



保管小隊とは、隊の物品の受領、検査、保管、払い出し等の業務を行っている小隊の事である。



「ハッ」

保管小隊の隊員が返事し、とあるケースから小さなモノを取り出す。

「パッ」

それを握りしめる爆破。

「(上手く行くかどうか……)石よ……指し示せ!」

爆破は手にした例の紫色の宝石をゾムビーの方へかざした。

「キラッ」

すると、前に立っていたゾムビー2体と、奥から向かって来ようとしていたゾムビーの内、1体の体の一部が、光り輝いていた。

「スマシさん! あの光は……?」

主人公が爆破に問う。爆破は声を大きくして言った。

「ああ。皆! よく聞いてくれ! 今、体の一部が光り輝いているゾムビーは、石のゾムビーだ! 更に言うと、光り輝いている部分に、ゾムビーを強化している宝石がある!」



「……なるほド!」

「へっ、そいうことか!」



そっと言う逃隠と抜刀。二人は走り出す。



「タあああああああ‼」

「オラアアアアアアアア‼」



ゾムビーの、光り輝いている部分の付近を斬りつける二人。

「ゾォオ!」

「ゾ!」

横に真っ二つになり、崩れ落ちるゾムビー2体。その切り口からは、光り輝く石が。



「ピッ!」

「スチャ!」



二人はそれぞれ、剣先に石をのせた。

「やったぜ!」

「後は任せタ!」

後ろを振り返り、言う抜刀と逃隠。

「スタッ」

二人は横に除ける。

「リジェクト!」

「バースト!」

主人公と爆破は超能力を用い、石が無くなったゾムビーを攻撃する。



「ドシャアアア‼」

「ボボンッ‼」



大破するゾムビー達。

「よし! 隊員達は、次に奥から来るゾムビー達を狙え!」



「タタタタタタタタ」



爆破の指示を皮切りに狙撃が始まる。