いぶさん2021/03/07 12:54
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――二日後、新大阪駅にて。

「よし皆、切符はちゃんと持っているな?」

爆破達、狩人十数名が丁度新幹線から降りてきたところだった。



(大阪! おおさカ オーサか!)

(タコ焼き食って帰るか……)

(ああ……ホントに来ちゃった。授業……)



逃隠、抜刀、主人公がそれぞれ、思いを募らせる。

「ところで隊長ォ!」

逃隠が手を上げて質問する。

「何だ?」

「身体副隊長の姿がありませんガ、どうしたのですカ? てっきリ、もう現地に到着しているモノかト……」

爆破が答える。

「ああ、副隊長なら、この前の戦いで腕を折っているからな。今日は休養に充ててもらっている」

――その頃、狩人ラボ、トレーニングルームでは

「ガッシャン……ガッシャン……」

片腕で身体がトレーニングをしていた。

――場所は戻って大阪。

「が――――――――ン」

ショックを受ける逃隠。

(今回モ、俺の活躍を身体副隊長にお見せする予定だったのニ……)

爆破が口を開く。

「まぁ、そういう事だ。さて、次はなんば駅辺りに向かうぞ。地下鉄に乗り換える」

在来線のホームを歩く一同。それに気付いた民間人が、ひそひそと話をする。



「見ろ、狩人や。近頃、ゾムビーがよう出てくるからなー」

「見た事の無い顔ぶれやなー。どこの支部のもんや?」

「あの女、べっぴんさんやな……」



それに対し、抜刀が不満そうに言う。

「へっ! 見世物じゃねーっての!」

「セツナ。……気にするな」

爆破が注意する。電車が来る。電車は走り、なんば駅に到着した。爆破は言う。

「さて、少し悠長かも知れんが、戦いの前に腹ごしらえでもするか」



(うオ――――!)

(へへっ、ラッキー)



歓喜する逃隠と抜刀。――とあるタコ焼き屋前。

「ここのタコ焼きが旨いと聞いた。立ち食いで悪いな」

爆破が話す。



「いえいエ、とんでもなイ」

「気にすんな! いっただっきまーす」



タコ焼きを食べる逃隠と抜刀。少しうつむき気味の主人公

「パクっ」

二人と同じく、タコ焼きを食べる。

「ん!? う、美味い!」

パァッと明るくなる。



「う――、美味いんじゃア――!」

「こいつぁ旨いタコ焼きだぜ!」



逃隠、抜刀もそれぞれタコ焼きを味わう。

「そうか、それは良かった。はふはふ」

タコ焼きに息を吹きかける爆破。

「パクっ」

タコ焼きを頬張る。

(うむ……イケるな)

爆破は少しタコ焼きを食べてから話し出す。

「さて、今回の本題に入ろう。今回の戦いは、ここ大阪の道頓堀川付近で行われる予想だ。その近辺はゴミなどが多く、汚れており、ゾムビーがもともと発生しやすい場所とされていた。特に最近になって、ゾムビーがよく出没しているらしい。狩人・関西支部の隊員が駆除にあたったが、敵の数も多く、死傷者が続出した様だ。そこで、我々関東支部の隊に要請があり、今回ここに集まったというわけだ……聞いていたのか? お前達……?」

「むしゃむしゃむしゃむしゃ」

一心不乱にタコ焼きを食べる逃隠、抜刀、主人公。



「んまァ!」

「うめぇ!」

「おいしい!」



呆れる爆破。

「…………おい、話を聞いていたのか?」

「わぁーってるよ! 最近ここいらで、ゾムビーがよく出てくるからそれを倒すんだろ?」

抜刀が食べながら言う。

「隊長! 我々の方は、今回の事前情報を頭に入れております!」

狩人の隊員が言う。

「……まぁいい。そろそろ行くぞ。ゴミは所定の場所に捨てるか、持ち帰るように!」



「ピロリ―ン! ピロリ―ン! ピロリ―ン! こちら大阪市です。緊急速報。緊急速報。中央区道頓堀付近で、ゾムビーが発生しました。お近くの住民は直ちに避難して下さい。繰り返します……」



爆破が言うのも束の間、市の緊急速報が辺り一帯に放送された。

「……現れたか。行くぞ! 道頓堀川沿いにヤツらは発生している可能性が高い! そちらへ向かう!!」



「ハイ!」

「おウ!」

「オウ!」

「ラジャー!」



爆破の号令に、主人公、逃隠と抜刀、狩人隊員達が返事する。



――5、6分後。

「ダダダダダダ! ザッ!!」

一同が道頓堀川を発見する。



「あ……あれ……」

「グ……グリ……」

「グリ〇……ダ……」

「……」



主人公、抜刀、逃隠が口々に言う。隊員達は無言。そこには、大阪名物・道頓堀グリ〇サインが存在していた!

「おっと、大阪に来たことは無いので、道に詳しくないものでな。何故だか観光名所の様な所へ一番に到着してしまった」

少し笑顔で言う爆破。

「パシャッ」

逃隠はおもむろに携帯で写真を撮る。

「こら! 止めんか!! 観光に来たわけではないんだぞ!」

爆破は注意する。

「あ……つイ。すいませン」

逃隠は頭を掻きながら謝る。

「全く……」

腕を組み、呆れた様子の爆破。

「……それにしても」

主人公が辺りを見渡す。

「川を含めて、ここら辺って結構汚いんですね」

通路や橋、川には、空き缶やタバコの吸い殻、ナイロン袋等のゴミが捨てられていた。

「いかにもゾムビー達が好みそうな汚さだ……」

爆破が口を開く。と、

「あ! あれ!!」

主人公が何かを指差した。指差した先は道頓堀川の水面だった。一同、その方向を見る。

「ゾ……ゾ……」

それはゾムビーが川から上がり、川の縁の壁を登っている正にその時の様子だった。

「ツトム!」

爆破が叫ぶ。

「ハイ! リジェクトォオオ‼」

リジェクトを放つ主人公。



「ドシャア!」



「ゾ……」

粉々になったゾムビーの残骸は、川へ落ちていく。

「ザッバーン! ザバッ! バシャ」

ゾムビーの残骸は大小様々あったようだった。水面を波紋が広がる。

すると、

「ぶくぶくぶくぶく」

残骸が落ちた付近から泡が吹き出てきた。

「! 何だ!?」

身構える爆破。



「ぶくぶくぶく」

「ぶくぶくぶくぶく」

「ぶくぶく」



次第に、泡は残骸が落ちた所以外からも出てきた。



「おいおいおい」

「ごくリ」



焦る抜刀と逃隠。静まり返る周囲。そして――





「バシャアアアアアア!」





大量のゾムビー達が川から姿を現した。

「何! 15! いや、20は居るぞ」

流石の爆破も動揺する。



「おいおい、どうするんだ?」

「水中じゃア、戦えなイ……かと言っテ、上がってくるを待つのカ……?」



抜刀、逃隠が口々に言う。そんな中、キッと目つきを鋭くする主人公。



「リジェクトォオオ!!」



「ドバシャアアア」

水面付近のゾムビー達に向かってリジェクトを放つ。



「ゾゾゾォ!」

「ゾォオ!」



5、6体のゾムビーが同時に弾け飛ぶ。続けて爆破に話し掛ける主人公。

「スマシさん! 10秒以内に、次のが打てます! 指示を!」

「あ……ああ! セツナ、サケルはなるべくゾムビーに近付いて待機! 銃を持った隊員達はヤツらに射撃だ! 私もツトムと一緒に遠隔から攻撃する!」



「隊長!!」



指示を終えた爆破に、隊員の一人が話し掛ける。

「何だ!?」

「川の南方の通路を通り、3時の方角からゾムビーが列を成して近付いてきています!」

「何!?」

爆破は言われた通路の方を見る。するとゾムビー達が一列になってぞろぞろとこちらへ歩み寄って来ていた。