詩「本懐」


有原野分2024/06/26 10:47
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・詩と思想2024年4月号に掲載された作品です。 ※2024年1月の作品です。 読んでいただけると幸いです。 いいね、スキ、フォロー、シェア、コメント、サポート、支援などしていただけるととても嬉しいです。 これからも応援よろしくお願いします。

詩「本懐」

自分が高熱で苦しいとき、

妻はまるで悲しそうだった。


妻が熱を出して苦しんでいるとき、

おれはまったく苦しくもなく

人間の悲しさが分からなくなった。


ひとは、

どこまでも

内側に生きている。


そう思った、

その瞬間から

おれはきっと妻よりも

少しだけ不幸になろうと

ようやく愛の本質に

悲しみの底を知った。

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