詩「群青」


有原野分2023/07/24 06:23
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※2023年3月の作品です。 (詩人会議2023年7月号に掲載された作品です) 読んでいただけると幸いです。 いいね、スキ、フォロー、シェア、コメント、サポート、支援などしていただけるととても嬉しいです。 これからも応援よろしくお願いします。 あなたの人生の 貴重な時間をどうもありがとう。

詩「群青」

群青色だと思った

空が

いったいいままでにいくつあったのだ

 ろうか

 

パンデミック前に

祖母の手を握ってから

ぼくはまだ施設に行けていない

 

夜 目を閉じる

想像の中のテレビが光って

白黒の中に爆弾を落としていく

マスクでは防げそうもない粉塵が

そのまま光を消していった

 

せめて小説でも書こうと

ネットや本で

当時の匂いを探したけど

そこに

人間はいなかったように思う

 

ぼくはなにもしらない

祖母はコロナをしらない

誰も訪ねてこない理由を

 

白黒の味がする

自身の生きた匂いがする

細かい羽音が聞こえる

あの小さな部屋では

ぼくの小説はただのファンタジーかも

 しれない

 

だからこそ

最後に

祖母に会えるのは

晴れた日だといいのだけど

群青色の

だからこそ

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