
群青色だと思った
空が
いったいいままでにいくつあったのだ
ろうか
パンデミック前に
祖母の手を握ってから
ぼくはまだ施設に行けていない
夜 目を閉じる
想像の中のテレビが光って
白黒の中に爆弾を落としていく
マスクでは防げそうもない粉塵が
そのまま光を消していった
せめて小説でも書こうと
ネットや本で
当時の匂いを探したけど
そこに
人間はいなかったように思う
ぼくはなにもしらない
祖母はコロナをしらない
誰も訪ねてこない理由を
白黒の味がする
自身の生きた匂いがする
細かい羽音が聞こえる
あの小さな部屋では
ぼくの小説はただのファンタジーかも
しれない
だからこそ
最後に
祖母に会えるのは
晴れた日だといいのだけど
群青色の
だからこそ
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