人は聖域と聞くと、エデンだとか、神社だとか、そういう神が関わる領域――神域を想像するだろう。
そして、そういう領域は神聖でなくてはならない。神聖であり、神域。それが聖域なのだから。
当然、聖域に邪なものを侵入させてはならない。聖域が穢れてしまう。穢れることに対する対策は必須だ。
「彼」は、そのためにいる。
丁度いいところに、邪なものが聖域に足を踏み入れていた。
それが何かはわからない。人かもしれないし、悪魔かもしれない。妖怪かもしれないし、UMAの線も捨てきれない。
だが、「彼」はそんなことを気にせず、突っ走って、例えば金槌、例えば短剣、他にはクナイや鉄扇も、どこに隠し持っていたのかはわからないけど、とにかくありとあらゆる武器で、それを完膚なきまでに破壊した。
肉片や血が辺りに散る。
気付いた時には「彼」は消えてて、僕は後片付けのためにタオルや雑巾を何枚も駄目にしてしまった。