Chapter 21 - 第一集 白狐の式神
よく見ると、男の頭のからは白い狐の耳が、腰下からは耳と同色の九本の尾が生えていた。
紫苑「貴方は伏見稲荷の白狐ね。」
「せやよ~。君が僕を喚び出したんか~?」
紫苑「ええ。私は陰陽師・安倍晴明公の末裔。名前は安倍 紫苑よ。」
「僕は白利(びゃくり)や。」
紫苑「単刀直入に言うわ。貴方、私の式にならない?」
白利「お断りします。…恋人なら話は別やけどね。」
紫苑「!ちっ、近いっ////!離れなさいよ!」
白利は紫苑の顔に自身の顔を近づけながらそう呟く。身内以外の男に相手の息がかかるほど近い距離に寄られた事のない紫苑は、顔を真っ赤にして白利に抵抗する。 しかし改めてよく見ると、白利はとても整った顔をしている。 すっと通った鼻筋に切れ長の目、優しげに垂れた眉に白い肌。瞳の色は綺麗な茶色で白い髪も艶やかだ。
紫苑「何で神の眷属や陰陽師の式が嫌なの?出世に興味がないの?」
白利「僕は自由を愛する男なんです。だから誰かに仕えるのは嫌や。」
紫苑「何よそれ。」
紫苑(この男…凄い力を持ってるわ…只立ってるだけなのに、凄く強い霊力を感じるもの。欲しい…ううん。手に入れてやるわ。)
紫苑は札を取り出すと、
紫苑「急急如律令!我が意に応え式になり賜え!」
と唱えた。
白利「!油断したな~、まさか僕が人間に調伏されるやなんて。」
こうして、紫苑は白利を式神にした。
が、これが冒頭の紫苑の後悔の元であった。