イナベより愛をこめて(20)「君が、噓を、ついた」


キョウダイセブン2022/04/09 01:57
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イナベより愛をこめて(20)「君が、噓を、ついた」

イナベより愛をこめて(20)



 第三章



 私は初等数学と呼ばれる「数学Ⅲ」までしか教えていない予備校講師なので数学について語る資格はない。それでも、時には

「なんで、この世界は数式で表現できるんだろう?」

 と不思議な思いに駆られることがある。どうもこの世界はカオスではなく、全てが数式で表現できるような世界らしい。なぜなんだ?やっぱり、神様がみえるのだろうか?



 私はユゴーの「レ・ミゼラブル」のジャンバルジャンの話を聞いたとき小学生だった。

 

 貧しい職人ジャン・バルジャンは,飢えに泣く姉のこどもたちを救おうとしてパンを盗んだために投獄される。彼は社会に対する深い憎悪を抱いて出所するが,数日後ミリエルという司教から兄弟のように遇されて,その良心がめざめる。その後彼はある町に工業を興してこの町を豊かで清潔なものにする。また数々の辛苦や危険を乗りこえて,不幸な売笑婦の幼い娘コゼットを育て清廉な青年マリユスと結婚させるなど,わが身を犠牲にして人々のために尽くし,ミリエル司教の教えを実践して聖者のように死んでゆく。

                                                      出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版

 あれから50年過ぎたけれど、鮮烈な思い出として記憶に残っている。なぜなんだろう?



 あなたの好きな歌手はだれだろう?いつも作業中に聞いているお気に入りの歌が誰にもある。その歌を聞いた瞬間に過去のある時期の思いが鮮やかによみがえる歌って誰にもあるもの。私は小田和正さんとかユーミンの曲を耳にすると、大学時代のあれこれが昨日のことのように思い出される。



 世によく「真・善・美」という。人は真理に驚き、善を好み、美しいものに感動する」。私は還暦を過ぎたのだけれど、未だに答えを見出せない。毎日、積分方程式や置換積分を教えながら不思議な思いを抑えられない。オフコースの歌は毎日聞くし、アメリカの教会を思い出す。



 人は心の奥底、あるいはDNAの中に真理を好み、善を求め、美しいものに魅了されるのではないだろうか?それなのに、現実は戦争が絶えない。なぜなんだろう?プーチンや習近平、金正恩は悪魔なのだろうか?

 それとも、ジャンバルジャンのような人なのだろうか?



 私たち大人は罪のない子供たちを守る責務がある。核兵器をチラつかせ、必ず報復すると言っている独裁者を前に善人の心を期待するのは無責任なのだろうか?欧米諸国はキリスト教の世界だから、この葛藤はあると思う。

 まずは、兵器を用意して子供たちを守れる態勢を整えてから話し合いに臨む。それが、今できることだと思う。



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