雨宿り(第五話:最終回)虹の贈り物

Chapter 3 - 第三章 あまやどり

進藤 進2022/02/10 04:16
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かなしいことや、イヤなことがあるとき、サトシ君はいつも、この「おすなば」にきます。

 

ここは、「ほらあな」みたいで、なにかおちつくのです。

 

とくに、「あめのひ」は、だれもこないので、いいのです。

 

そして、「おかあさん」のことを、おもいだして、よくひとりで、ないています。

 

おとうさんのまえでは、あまり、なきたくないのです。

 

サトシ君がなくと、おとうさんが、つらそうにみえるからです。

 

サトシ君は、すなにうまっている、トラックのおもちゃを、シャベルでたたいています。

 

パン、パンとおとがします。

 

「おすなば」のそとでは、「あめ」がふっています。

 

シト、シト。ピチャ、ピチャ・・・。

 

すると、こきざみな「おと」がちかづいてきました。

 

なんだろうと、かおをあげると、ちいさな「おんなのこ」が、はいってきました。

 

『キャーッ、ぬれちゃったぁ。あっ、こんにちは・・・。』

 

『こんにちは。』

 

「おんなのこ」は「あめ」にふられたのか、かみと、ふくが、すこしぬれています。

 

サトシ君のほうをみながら、ほほえんでいます。

 

かわいい、「えがお」です。

 

『これで、ふきなよ。』

 

サトシ君は、もってきているリュックから、タオルをだして、わたしました。

 

『ありがとう。』

 

「おんなのこ」はうれしそうに、ゴシゴシふいています。

 

このへんでは、みかけない「こ」です。

 

『おにいちゃん、なんさい?』

 

『5さい。』 

 

『わー、もっと、おおきい、かとおもった。わたし・・4さい。』

 

ふたりは、すぐ「ともだち」になって、「おすなば」で、あそびはじめました。

 

サトシ君がリュックから、ジュースとクッキーをだすと、「おんなのこ」は、めを、かがやかせて、いいました。

 

『すごーい、おにいちゃんのリュック、まほう、みたい。』

 

そして、ふたりで、おいしそうにたべました。