AZURELYTONE


Az2020/07/19 02:59
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小説

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AZURELYTONE【Ⅰ】001

ここは、夜の明けない極夜の街
アズレリイ...... 。



街が闇につつまれたとき、
人々は三種の性質変化に侵された。


ザイン(sein)
: 眠ることができない人間

インザイン(Insein)
: 目覚める事ができない人間

ダーザイン(Dasein)
: 死ぬ事ができない人間

極夜の街は、
互いの性質をめぐる争いに
満ちていった…………。












「 はぁ……はぁ、はぁ」






艶やかに光る石が敷き詰められた路地を駆け抜ける青年。



それを数人の男達が追いかける。

「二手に別れろ!!」
「袋小路に追い詰めるんだ!!!!」

青年はこの区画の地理に疎いのか、角を曲がる度に、男達に距離を詰められていく。




「追い詰めたぞ 」
「なにが鬼ごっこだ?」
「フザケやがって 殺せ  」

残念ながら、この街ではリンチはよくある光景だ……死ぬことのないダーザイン達は、その行為に狂暴性を増している。


「はぁ……はぁ…」
「……鬼ごっ……こ………」

「鬼ごっこは終わりだ 」


ガンッ 
ガン 

弾丸は、無防備の青年を容赦なくつらぬく。
身体を支えきれず、壁に背をつけた。

「ゴボッ」



その口許からは、血の泡と…………


笑みが溢れた。



「ぐはっ」

「……終わり……だって? 」

青年の瞳が深紅に光る。



……ギン  

「わかってんのか?鬼ごっこだぜ?」

叫ぶと同時に、青年は自ら傷口を
絞り出した。

「鬼はひとりだ!! 」
「追い詰めてたのは、こっちだ!」


吹き出した血液は深紅の刄となり、
男達に襲いかかる。

バシンっ  


「あっ  かはっ  なんだ!?」



次の瞬間、男達の半数が首から下に永遠の別れを告げることになった。

「血液が刃物のように!?」

「こいつダーザイン(Dasein)だ 」

「しかも我々より……にげ…… 」

碧く艶めく石畳に、紅い色が広がる……


「逃げるのか?」

「ひとり……いや、ふたり…… 」



青年が触れると、その血液は硬質化をはじめ新たな刃物となった。

「逃がさない…… 」

「ダーザイン(Dasein)なら
死ぬことはない……だから
やりたい放題? 」

青年が口許は冷たい笑みをうかべると、
その奥に、不自然に尖る犬歯が光る。

「残念だったな……」

「お前らが追いかけていた人間…」


「俺は…ダストブレイカー
(不死者を殺せる者)だ」

「さあ……続けようか」
「……鬼ごっこを 」

鬼は、馴れた足取りで路地を曲がった。




002へ続く

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