因幡の白兎

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今日は友でも明日には敵

俺は幼少期に児童養護施設にいた。 表の顔は障がいの子供を世話をする施設だが、裏では多額の金で親から子供を買い取り、核兵器に変わる抑止力となる生物兵器……ウイルスの開発をしていた実験場。いわば、そこに入居した子供たちは、親から棄てられたあげく、新兵器となるウイルス開発の人体実験用のモルモットだったというわけだ。 はぁぁ……。 俺がまだ施設にいたとき、毎日友達が殺され……地面に埋められた。 衣食住は保証されているが、明日は自分が死ぬかもしれないと怯えて過ごす毎日。しかし、そんな恐怖も先に殺される友達を見ている内に、俺も早く死んで、死後の世界でもう1度友達と遊びたいと思い始めた。 俺も開発段階のウイルスが投与され、何て表現すればいいのか分からない苦痛に全身を支配されたが、これで俺も友達の所に逝けると思うと嬉しかったが……俺は先に殺された友達のように死ねなかった。 ウイルスを投与され意識を失い……目覚めた日の事は忘れもしない。 ウイルスの影響か背丈が成長した自分の姿。殺されて埋められたはずの友達に襲われ、涙ながらに……殺してと頼まれたこと……掴んだ頭から伝わってきた首の骨が折れる感触……ぜんぶ……憶えている。 化物を殺す度に……最期に振り絞る言葉には……毎回胸が引き裂かれそうになる。 開発段階でも人を苦しめ、ウイルス開発を成功させたのにも関わらず、無関係の人々を苦しめ続ける、あいつ等だけは絶対に俺の手で殺す。 それまでは、何があっても……どんな状況で、どんなに辛くても……俺は死ぬわけにはいかない。

白波大我

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平凡リーマン、転生したら最強でした。〜人類史上初の神級魔法使い《ゴッドマジシャン》として敬われてます〜

アルフェ先生との特訓が始まり7年の月日が流れた。今日は彼女との特訓最終日。卒業試験の日だ。 「試験かー。学生の頃も試験嫌いだったんだよな」 なんてことを呟き試験会場である、俺だけの魔法練習場に訪れた。 「サンくん。試験内容は、使える|全《・》|属《・》|性《・》の上級魔法だよ!気合入れてね!」 「お手柔らかにー」 と言い詠唱を始めた。しかし、俺は大きな勘違いをしていた事には気づかなかった。時すでに遅し。 「この世の五属性の精霊よ。我は我の魔力と引き換えに大地を引き裂く力を所望する。|全属性複合放射《オール・ブラスト》」 俺は、勘違いに気づかないまま全属性を複合して撃ったのだ。すると1キロ先にある的に当たりはした。 だが、10キロくらい先にある山まで貫いたのだ。それを見ていたアルフェ先生はこの世の物では無いものを見てしまった様な顔をして、こう聞いてきた。 「えっ!?サンくん今何したの」 「はい!全属性を複合した魔法を使いました」 「そ、そんな事出来たの?」 「はい。つい先日、火と風の複合魔法に成功した為今回も同じ要領でやってみたら出来ましたけど……」 「……嘘。私でも三属性複合までが限界

平凡リーマン、転生したら最強でした。〜人類史上初の神級魔法使い《ゴッドマジシャン》として敬われてます〜

須賀川めねす

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終末歌姫の黙示録

しゅうまつうたひめの、アポカリプスと読みます。 バーチャルアイドル「カノン」こと橘奏乃子(たちばな かのこ)は、持ち前の要領の良さやピアノの演奏動画などが評価され、群雄割拠のバーチャルアイドル界でもトップクラスの人気を博していた。 だが彼女は、ファンの暴走、現実とバーチャルとのギャップやジレンマ、金が絡む人間の汚さに絶望、疲弊し、自殺という手段で11年という短い人生に幕を閉じる。 死後、そんな彼女を待ち受けていたのは、ウェーブのかかったピンク髪をツーサイドアップでまとめた、派手な雑誌モデルのような女性の姿をした、死神…れっきとした、死神の一人であった。 「かのこちゃんが生きてきた世界と別の異世界に転生して、そこで悪魔としてメッチャ暴れて、人間どもをコテンパンにしてさぁ…どう?楽しそうじゃない?」 その死神か発した一言は正気の人間であれば頷きがたいものであったが、生前に起きたある事件から人間に絶望した奏乃子は、うさんくさいピンク髪の死神「ミケ」との契約の持ちかけに二つ返事でOKしてしまう。 ミケに様々な機能を備えたキーボードとともに与えられた、他人の精神を自在に操るスキル「調律」により、悪魔として転生した「カノン・ベネデッティ」の行動は、世界中に"魔"の不協和音を広げていく… かに見えたが、人間を滅ぼすべく転生したカノンは、憎んでいたはずの人間に懐柔されていた!?

キョウダイセブン

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マウントを取りたい人々

マウントを取りたい人々 (1) 私は中学校の時、成績はトップクラスでした。そして、勉強ができない子たちに 「なぜこんな簡単なことが分からないのだろう?」 と不思議に思っていました。とても嫌なヤツですよね。 それなのに、勉強のできない子が私によく質問してきました。他に勉強のできる子もいたのに何故か私の周囲には質問をしてくれる子が多かった。その頃から何となく 「ボクはこんな仕事をするのかなぁ・・」 と、ボンヤリ考えていました。 私の年代には「特殊学級」と呼ばれるクラスが設置されていて知恵遅れ(これは今では差別用語かもしれませんがその頃の呼び名です)の子たちが所属していました。私は躾の良い生徒だったのでそんなイジメに会いやすい生徒とも普通に付き合っていました。 すると、特殊学級の子たちが話しかけてくるようになりました。 (2) 大学時代に名古屋でTOEFLを受けようと名古屋駅にいたら若い女性がウロウロしていたので 「どうされたのですか?」 と尋ねたらTOEFLの受験会場に行きたいとのこと。それで教えてあげた。試験後に大阪の会場がいっぱいだったので名古屋に来たと教えてくれました。 新幹線まで時

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