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なぜブロックチェーンは「使えない」のか?

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Baskadia2021/02/19 10:52
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ブロックチェーンは、当初、ビットコインを支える先端技術として注目を集め、様々な分野への応用が期待されましたが、仮想通貨(暗号資産)以外の分野でブロックチェーンが実用化された例は、かなり少ないようです。その理由について解説します。

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はじめに

 本記事は、ブロックチェーンのしくみをある程度理解していることを前提にしています。ブロックチェーンのしくみにご興味のある方は、「簡単!初心者でもわかるビットコインとブロックチェーンのしくみ」(以下「ブロックチェーンのしくみ」と略記します)をご一読ください。


ブロックチェーンの欠点

 ブロックチェーンは、ビットコインが有名になるにつれて、ビットコインを支える先端技術として注目を集め、様々な分野への応用が期待されるようになりました。多くの企業がブロックチェーンの応用研究や応用実験を開始し、たびたびニュースにもなりました。しかし、今のところ、仮想通貨(暗号資産)以外の分野でブロックチェーンが実用化された例は、かなり少ないようです。なぜでしょうか。

 「ブロックチェーンのしくみ」において、ブロックチェーンは分散型データベースである、というお話をしました。ブロックチェーンは、この「分散型」のしくみを実現するために、いくつかの欠点を抱えることになってしまったのです。そして、その欠点は、ブロックチェーンを仮想通貨以外の分野に応用しようとするときに、無視できないものになります。ブロックチェーンの欠点には、主に次のようなものがあります。


・過去のデータを一切削除できない。

・処理速度が遅く、電気代がかかる。

 簡単にいうと、通常の(ブロックチェーンではない)データベースと比較して、無駄が多い、効率が悪い、ということです。もし、以上の説明でご満足いただけたのなら、本記事は、ここで終了です。以降では、「もっと具体的にどういうことか知りたい」という方のために、その詳細について解説していきます。


過去のデータを一切削除できない

 「ブロックチェーンのしくみ」において、ブロックチェーンは、下記の方法でブロックをチェーン状につないでいくことにより、データを更新していく、というお話をしました。


① 最後尾のブロックの内容をもとに数学的な問題が自動的に生成される。

② 各ノードは、最新のデータをブロックに入れた後、上記の問題の解答を探し出し、その解答を付したブロックを最後尾のブロックにつなぐ。

③ ①に戻る。


 つまり、ブロックがその直前のブロックから生成された問題の「解答」になっているか否かによって、そのブロックが正当なブロックであるか否かが判定されます。したがって、最後尾のブロックが正当なブロックであることを確認するためには、ジェネシスブロック(先頭のブロック)以降の全てのブロックが「問題と解答」の関係でつながっていることを確認する必要があります。そのため、ブロックチェーンは、過去から現在までの全てのデータを保持し続けなければなりません。これは、ブロックチェーンのデータが永遠に大きくなり続ける、ということを意味します。データが大きくなりすぎて、ディスクの容量が足りなくなれば、ディスクを購入して増設しなければなりません。そのたびにお金がかかります。

 通常のデータベースの場合、保持するデータは原則として最新のデータのみであり、過去のデータは必要なもののみを保存するしくみになっています。したがって、ブロックチェーンは、通常のデータベースよりもはるかに多くのディスクを必要とすることになります。それでは、ビットコインの場合、このような欠点は問題にならないのでしょうか。

 ビットコインの場合、ブロックチェーンに保存できるデータの種類が厳格に決められており、原則として、トランザクション以外のデータは保存できないようになっています。トランザクションは、「AさんのアドレスからBさんのアドレスにいくらのビットコインが送金された」というシンプルなデータ(とこれに付随するデータ)なので、一つ一つのデータの容量が小さいのです。さらに、科学技術は日々進歩しているので、ディスクも年々小型化・低価格化していきます。データが永遠に大きくなっていくとしても、データが大きくなるスピードがディスクの小型化・低価格化のスピードを上回らない限り、この欠点は大きな問題にはならない、ということになります。

処理速度が遅く、電気代がかかる

 ブロックチェーンがブロックをつないでいくプロセスを思い出してください。


① 最後尾のブロックの内容をもとに数学的な問題が自動的に生成される。

② 各ノードは、最新のデータをブロックに入れた後、上記の問題の解答を探し出し、その解答を付したブロックを最後尾のブロックにつなぐ。

③ ①に戻る。

 「ブロックチェーンのしくみ」で解説したとおり、ブロックチェーンが生成する問題は、いわば「時間稼ぎ」のためだけに作られる一見無意味な問題です。この問題は、簡単なものではないので、コンピューターを使ってもそれなりに時間がかかり、電力も消費します。そして、このしくみは、「分散型」のしくみを実現するために採用されたブロックチェーンに固有なものなので、通常のデータベースでは不要なものです。つまり、ブロックチェーンを利用すると、本来は解く必要のない問題を解くために、時間とお金を使うことになります。それでは、ビットコインは、この欠点をどのように克服しているのでしょうか。

 まず、時間がかかるという問題です。ビットコインの場合、ブロックチェーンが生成する問題は平均10分程度で解けるように難易度が自動的に調整されるので、ブロックチェーンのデータを更新するには平均10分程度かかることになります。これは、トランザクションが承認されるまでに最低10分程度かかることを意味しますが、現金による銀行での振込みでも完了までに何時間もかかる場合があるのですから、大きな問題ではないでしょう。

 次に、お金がかかるという問題です。ビットコインのシステムは、ブロックチェーンが生成する問題を解くために莫大な電力を消費しているといわれています。その電気代はマイナーが負担しているわけですが、マイナーはその費用をマイニングの報酬でまかなっています。そして、マイニングの報酬は、最終的にはビットコインの利用者が全体で負担することになるのですが、ビットコインは、世界的にその価値が認められ、広く利用されているので、巨額の電気代をまかなうことができているのです。

まとめ

 このように、ブロックチェーンは、「分散型」のしくみを実現するために、効率性という大きな犠牲を払っているのですが、これをビットコインで実用化できたのは、微妙なバランスのもとで、その欠点を実用に耐えるレベルまで克服したからです。仮想通貨以外の分野でブロックチェーンを応用するには、これらの欠点を何らかの方法で克服する必要があります。逆に、それでもブロックチェーンを応用できそうな分野を見つけたのなら、そこにビジネスチャンスがあるかもしれません。ぜひ挑戦してみてください。

 なお、ブロックチェーンには、本記事で取り上げた欠点以外にも「51%攻撃により一度有効になったデータを後から無効にできる」などの欠点があります。51%攻撃については、「ブロックチェーンのしくみ」で解説していますので、そちらをご参照ください。

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