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イナベより愛をこめて(2)

自分が大切なら「ノー」と言ってみよう 私がハッキリ日本の社会、学校がおかしいと気づいたのはアメリカのユタ州にあるローガン中学校にいた時のことだ。日本では、みんな同じ制服、靴、鞄、靴を身につけ、みんな同じクラス、教材、宿題をやる。 授業が終わると、みんな部活で日没まで学校にいる。 ところが、アメリカでは私服、化粧も自由。みんなバラバラ。もちろん、髪も色とりどりでカールやパーマの子も多い。クラスなど存在せず、授業毎にみんなバラバラで歩き回る。部活など無いので帰宅後は学校とちがう生活がある。教会活動やボランティア。スポーツをする子も勉強する子もバラバラ。 日本の中学も高校生も、他人の意のままに動く操り人形のように見えた。他人の命令によって動いている日本の生徒たちは不気味でさえある。自分の人生が自分中心にまわっているアメリカの中学生や高校生とちがって、自分を押し殺して生きている。 他人に自分の人生をコントロールされている人を犠牲者と呼ぶ。きっと、日本の中学生も高校生もこう言うだろう。 「だって、小さい頃から“先生の言うことを聞いて良い子でね”って言われて育ったんだよ」 私は、そのような日本の中

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父親は一筋縄ではいかない(8章、A子ちゃんのこと②)

当たり前だが、マナーやエチケット、採点官に対する思いやりが欠ける英作文は高く評価されない。学力だけではなく、そういう人間的な深みがないと見込みがない。浅い理解では京大などの難関大は合格できるものではない。 実は、私に京大を7回も受けさせたのも直接的にはA子ちゃんの影響が大きい。 「この子は日本の宝だ。何としても志望校に合格させなければ」 と思った。出来ることは何でもやる。娘以外の人間で、私にそんな思いをさせたのはA子ちゃんが初めての生徒だった。 A子ちゃんは、あるクラブに所属して大会で入賞する成績をおさめていることは耳にしていた。ところが、高校2年のある時、自主的にそのクラブを引退した。理由は分からなかったけれど、成績が伸び悩んでいたのが理由だということは推測できた。 私は、彼女の覚悟というか気魄に驚いた。 「先生はバツイチでも、1回結婚できたからいいですよ」 と笑っていた。言葉の端々にクラブばかりか、彼氏も結婚も何もかも犠牲にしても医者になるんだという決意が満ちていた。彼女のクラスがある時は、楽しかったけれど緊張した。 「この仕事を始めてよかった」 私にそう思わせてくれた塾生の子は多

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