第3話 - 自由な旅人、愚者
――カップ国、ヌグチ村――
ここは畜産を収入源としている村で可愛げのある動物と豊かな緑が特徴的である。
「いやぁ助かりました。一晩泊めていただきありがとうございます。」
「おおそうかい。よかったよ。襲撃があってから間もないからたいしたもてなしも出来なかったがの...で、どこかに向かって旅をしているのかい?」
「いえ、特に向かっている所もないです。気ままにって感じですかね~。」
「そうかい...。この先はワンドの国さんだからね。気をつけるんだよ?」
「忠告、感謝します。僕は大丈夫ですよ。自由が好きなのでね。」
「??」
青年はそう言うと手を振りながら、陽気にワンドの国の方へと歩き出した。
「ぼっくは♪たっびのねっなしっぐさぁ~♪ぼくをとめること♪はでっきなぁいぃ~♪」
音痴な歌を歌いながら歩いていると、その歌につられたのかスライムが飛び出してきた。
「う、うわぉ。聞きに来たのかい?僕の歌を?」
スライムは敵意むき出しで青年を包み込んだ。当然、青年は溺れる。
「はぼぼぼ?あばばぼぼばぼ...」
青年は意識が遠くなりかけた。すると...いきなりスライムはあちこちに飛び散った。
「ぴゅーげほげほ。もう!なにするんだい!危うく溺死するところだったじゃないか!」
青年はとても怒ったが、周りに危険が無くなり安心したのかまた上機嫌で歩いていった。
「僕の力の前では何者にも止めることは出来ないのさ♪」
――彼は愚者。名前はありません。(少し頭も弱いのです。)幼い時に捨てられてしまい誰も名前を付けてくれなかったのです。ですが、放置され続けた結果、能力が宿りました。力の名前は"自由"。彼は彼の行く手を阻む者に対して無限の力を引き出すことができます。ね?強いでしょう?愚者を含めこれから登場する20人を民は敬意を持ってこう呼びました。"大アルカナ様"と――
襲撃まで残り???日...。