第2話 - 【10月31日 日曜日】
昼過ぎに起きた。居間をのぞいてみると、父親はソファで眠っているようだった。
今日は女を連れ込んでいない。静かでいいや、と思った。
普段声が聞こえてくる時は、毎回“相手”の声が違った。
「父親」としての彼と、「向井雄輔」としての彼を、彼自身は別物と考えての行動だろうが。
僕としては、母をそっちのけにして自分の欲求を満たす彼を、心底軽蔑していた。
その日は大雨が降っていて、昼間でも窓からの光はほとんど入ってこなかった。
ばたばた、と窓を打ち付ける雨の音を聞きながら、昨日のたらこおにぎりを食べる。
ぼんやりと、昨日見た有本先生の姿を思い返した。
─まあ、先生も一応、大学生だし。
あの姿を見て幻滅でもしたのか、市立図書館へ行く気は起きない。
金曜日に出された宿題は終わらせてしまったし、土曜日のぶんの宿題が出ていたとしても内容は知らない。
小林にラインでメッセージを送って雑談でもしようと思ったが、いつもはすぐ帰ってくる返信が30分待っても来なかった。面倒なので借りた本を少し読み、再び眠りについた。
夕飯を作りに居間へ向かうと、父の姿は無かった。
仕事なのか、遊びで外に出たのかは知らないけど、うるさくないのは心が休まる。
カップラーメンでも食おう。