雨宿り(第五話:最終回)虹の贈り物

第1話 - 第一章  おきにいりの「ばしょ」

進藤 進2022/02/10 04:17
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「あめ」が、ふっています。

 

シト、シト。ピチャ、ピチャ・・・。

 

サトシ君はいま、いつものおきにいりの「ばしょ」にきています。

 

ちかくの「こうえん」にある、おおきなコンクリートの、やまのなかの「おすなば」です。

 

だれかがわすれていった、おもちゃのトラックが、「すな」にうまっています。

 

サトシ君は、きょねん、「おかあさん」をなくしています。

 

おおきなトラックに、ひかれてしまったのです。

 

びょういんで、「おかあさん」が、てをにぎって、いいました。

 

『サトシちゃん、ごめんね。いいこ、でね・・・。』 

 

そのまま、「おかあさん」は、ねむってしまいました。

 

おとうさんは、「てんごく」という、ところにいったと、いいました。

 

『いつ、かえってくるの?』

 

『いいこ、にしてたら、かえってくるよ。』 

 

『ボク、いいこ、だもん!』 

 

サトシ君の「め」をみつめて、おとうさんは、あたまをなでていいました。

 

『ああ、そうだな・・・。サトシはいいこ、だ。だから、きっとかえってくるよ。』

 

おとうさんは、そういいましたが、いちども、「おかあさん」は、かえってきません。

 

サトシ君は、よる、ねむるとき、おとうさんのふとんに、もぐりこみます。

 

『なぁんだ、あかちゃんみたいだな。もう、5さい、なのに。』

 

そういいながらも、サトシ君をやさしく、だいてくれます。

 

でも、おとうさんのむねは、ゴツゴツしてて、「おかあさん」みたいに、やわらかくないのです。

 

おヒゲも、チクチクして、いたいのです。

 

それでも、サトシ君はあんしんして、ねむることができました。

 

サトシ君はすこし、「あまえんぼう」なのです。