第24話 - ちゃんと繕って。4
お昼頃、あづが潤を連れて病室に来た。
「うわっ、本当に来た」
上半身をベッドから起こし、嫌そうな顔をして言う。
「当たり前だろ。お前が来いって言ったんだから」
ベッドの前にある丸椅子に座ってあづはいう。
「うるせえ」
「否定しねぇのかよ? うわっ、マジ? あづすげーじゃん。本当にこいつにまた明日来いって言わせたのかよ」
もう一つの丸椅子に座りながら、潤は目を見開いて叫んだ。
「……大袈裟すぎてきもい」
毒を吐いた。
「あ、なんか若干丸くなった?」
潤がまたいう。
「そーなんだよ。こいつ昨日から素直なんだよ」
俺の隣に座り、あづは俺の肩に腕をのっけて、足をブラブラと動かす。
俺はあづにデコピンをして憎まれ口を叩く。
「気のせいだバーカ」
嘘だ。
俺は少なくとも、あづには心を開きかけている。
「いや絶対気のせいじゃねぇ。だって今まで、来た瞬間に帰れって言われたけど、昨日言われなかったし、今日もまだ言われてねぇもん」
「じゃあ今言ってやる。帰れ」
「帰らねぇよ? あと、そのやり方は汚ねぇ」
「はいはい。重いからどけろ」
そう言い、俺はあづの腕を摑んでどかした。
「あ、これは超丸いわ。会ったばっかの時なら今絶対振りほどいてたし、隣にいんのも嫌がってただろうからな」
うんうんと頷きながら潤は言う。
「だろー?」
潤の方を向いて、あづは口角を上げて上機嫌に言う。
「俺、今のなえは結構好きかも。俺、明日も来ようかな。あづがいくなら」
あづと同じように俺の隣に座って潤は言う。
「おう! もう毎日一緒に来ようぜ!」
親指を上に上げ、残りの指を曲げてあづはいう。グッドのサインだ。
「……来なくていい」
「お前の許可なんてなくても勝手に来るわ。な? 潤」
「そうだな。勝手に来る」
「じゃあもう好きにしろ」
……好きにさせちゃダメだろ。死ぬんだから。
来るなって言えよ……。
言えるわけがなかった。
やっとできた友達にそんなこと言えるハズもない。