
落下中に
すくえたはずの日の雫
お前はその頭を犬に喰わせる
俺は夕暮れに醤油をかける
金属のプライドが足の裏を癌にした
歩いてきた道は夏の底
見上げると嘘のような水面は
熱された廃墟のように歪んでいく
俺が思っていた大切なものは
お前にとってはレンガの匂いだった
鍋に空いた穴から
左寄りの影が町にさしかかる
その瞬間、消えていく命 岸辺に
大勢の爪が流れ着いた
漂流者だろう
偶然にコーヒーはブラックだった
思想は令和の雨に爛れながら
朝帰りの頭を冷やしていく
打ち寄せる泡
手のひらに落ちてくる落花生 非が
俺を追い駆けてくる
お前は無事に逃げられるだろうか
裸足のまま
ヒを見失ったまま
空気に近い喪服を身につけて
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