詩「浄化」


有原野分2025/02/04 08:31
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・詩と思想2024年11月号で佳作に選ばれた作品です。 ※2024年8月の作品です。 読んでいただけると幸いです。 いいね、スキ、フォロー、シェア、コメント、サポート、支援などしていただけるととても嬉しいです。 これからも応援よろしくお願いします。

詩「浄化」

落下中に

すくえたはずの日の雫

お前はその頭を犬に喰わせる

俺は夕暮れに醤油をかける


金属のプライドが足の裏を癌にした

歩いてきた道は夏の底

見上げると嘘のような水面は

熱された廃墟のように歪んでいく


俺が思っていた大切なものは

お前にとってはレンガの匂いだった

鍋に空いた穴から

左寄りの影が町にさしかかる

その瞬間、消えていく命 岸辺に

大勢の爪が流れ着いた

漂流者だろう

偶然にコーヒーはブラックだった

思想は令和の雨に爛れながら

朝帰りの頭を冷やしていく


打ち寄せる泡

手のひらに落ちてくる落花生 非が

俺を追い駆けてくる

お前は無事に逃げられるだろうか

裸足のまま

ヒを見失ったまま

空気に近い喪服を身につけて

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