詩「祖母の家」


有原野分2024/08/14 08:33
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・詩人会議2024年5月号に掲載された作品です。 ※2024年1月の作品です。 読んでいただけると幸いです。 いいね、スキ、フォロー、シェア、コメント、サポート、支援などしていただけるととても嬉しいです。 これからも応援よろしくお願いします。

詩「祖母の家」

ようやく雪が降ったと思ったら

布団のぬくもりは消えていた


がらんどうになった

祖母の家に体温はなく

鬱陶しかった喧しさは

渇いた柱と

懐かしくすらあった


ひとは小さい

大きくなったと思ったら

また小さくなる


そうして帰っていく

昔いたはずであろう場所に


雪が止んだ

庭はまた乾いていく

家は忠犬のように

祖母の帰りを待っている


帰るものを失った空間は

また雪が降る前に

幽かな布団の体温が渇く前に

静かに眠りたい

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