第21話 - 第二十一話 ゾムビー過多
「くっ……作戦変更だ! セツナ、サケルは南方の通路へ行き、3時の方角から来るゾムビーを迎え撃て! また! 隊の半分はそれに加勢。残り半分は、ここに残って川に居るゾムビーを攻撃だ!」
爆破は再び指示を飛ばす。
「ラジャー!」
「タッタッタッタッタッ」
移動を始める隊員達。
「(さて……私もそろそろ行くか……)バースト……」
「ボッ!!」
「バシャアアアアアア‼」
水面が、ゾムビーごと激しい飛沫を上げて爆発する。爆破が言う。
「橋や川の整備を壊しては、戦いにくくなるのでな、川の真ん中を狙ってやった……全員、川の端に居るゾムビー達を狙撃しろ! ヤツらを川から上がらさせるな!」
「ラジャー!!」
「タタタタタタタタ!!」
銃声が鳴り響く。
――一方で、川南方の通路。
「ズバァアア!」
「ダッ……バシャアア!」
歩いて来るゾムビーの群れを抜刀が斬り、逃隠はタックルを喰らわせて倒す。
「ゾム……ゾム……」
それでも尚、3時の方角からぞろぞろと湧き出てくるゾムビー達。
「くそ、キリがねぇ……」
抜刀が言葉を漏らす。
「なんダ? その弱気発言ハ。俺はまだまだ余裕だゾ?」
逃隠が軽く挑発する。
「んだとぉ!? こんなやつら、5分で全員叩き切ってやらぁ!!」
挑発に乗る抜刀。
「……ふン」
逃隠はそっぽを向いた。
「抜刀隊員! 逃隠隊員! 少し下がっていて下さい!!」
狩人隊員の一人が叫ぶ。
「!」
「!」
「ザッ」
二人は道の両端に飛んだ。
「タタタタタタタタ!!」
隊員達が銃器を発砲する。
「ゾォオオ!(いたいぃ!)」
「ゾ!(ぐ!)」
狙撃され、崩れ落ちていくゾムビー達。6人による狙撃で、一遍に6、7体のゾムビーが葬られた。
「道を開けました。今の内に進んで下さい!」
「おウ!」
「サンキュー!」
隊員の言葉に、返す逃隠と抜刀。
――再び、道頓堀川。
「リジェクト!」
「バシャアアア‼」
水面が飛沫を上げる。飛び散るゾムビーの肉片。
「バシャ! ……ザバッ! ……ザブン……」
次々と肉片は川へ落下していった。みなもに波紋が幾つか出来る。波紋が全て収まった頃、爆破が口を開く。
「……終わったか……。念のため、隊員の内、3名はここに残って警備するように! 私とツトム、残りの隊員は南方の通路へ急ぐ!」
「ラジャー!」
「タッタッタッタッタッ」
南方通路を走る一同。辺りにはゾムビー達の残骸が無数に散らばっていた。それを見て、言う主人公。
「こっちにも、結構な数が居たんですね」
返す爆破。
「……そうだな、だがこちらへ向かった隊も、うまく戦ってくれている様だな」
「ええ……」
そのまま走る一同。暫く走ると、その先に抜刀、逃隠を含む数名の狩人隊員達が佇んでいた。
「どうした!? 皆!!」
近くへ寄り、爆破が言う。
「ア……あレ……」
「あ……ああ」
逃隠が何か建物の方を指差し、抜刀がゴクリと息を吞む。
「ん?」
爆破も逃隠が指差した方向を確認する。
「ゾム……ゾム……」
「ゾ……ゾ……」
そこには、かに〇楽の看板のかに(模型)に群がる、3体のゾムビーの姿があった。
「アレは……かに……?」
「かにだ……」
「あア……かにダ……」
爆破、抜刀、逃隠が口々に言う。
(本店のかには、ちょっと前に通り過ぎたが、ここにも……そうか! ここは東店!!)
爆破は思いを巡らせる。すると、
「パシャッ」
またしても逃隠がおもむろに写真を撮る。
「こら! だから止めんか‼」
爆破は再び注意する。
「ははハ……つイ……」
頭を掻きながら言う逃隠。
「リジェクトォオオ!」
主人公はゾムビーの内の1体にリジェクトを放つ。
「バシャアア!」
弾け飛ぶゾムビー。
「ギシ……ギシ……」
揺れるかに。
(かにがァ――――!)
怯える抜刀と逃隠。
「スマシさん! 見ている場合じゃありません! ヤツらを倒さないと‼」
主人公は言う。
「あ、ああ……そうだな。……バースト!」
「ボンッ‼」
爆破は残り2体のゾムビーごと、かにを爆破させた。
「かにがァ――――‼」
「ズズン……パラパラパラ」
かに〇楽の看板であるかに(模型)がバラバラに壊れ、落下していく。
「あア……かニ……」
逃隠がショックを受けている。抜刀が口を開く。
「気に病むな……アレは……食べられない……!」
「ケ、けド……!」
思わず口を開く爆破。
「何をやっとるんだ! キサマらの寸劇に付き合っとる暇は無い! 進むぞ‼」
「ハ、はイ!」
「お、おう!」
焦る二人。すると、
「ゾ……」
「ゾゾ……」
通りの3時の方角から、ゾムビー達がぞろぞろと姿を現してきた。
「来たな……全員、銃を構えろ!」
爆破の指示で、狩人隊員達が銃器を構える。
「……撃てぇえ!!!!」
「タタタタタタタタ!」
爆破の号令で、銃を発砲する隊員達。
「ゾ?(なに?)」
「ゾゾゾ?(いたい)」
銃弾を喰らうゾムビー達。暫く発砲は続く。
「シュ――――」
発砲が終わり、辺りに煙が立ち込める。暫くして煙が消え去ると、ゾムビー達が居た方向がしっかりと目視できるようになった。
「!」
爆破が目を見開く。そこには幾つかのゾムビーの残骸と、それをよそに平然と立ち尽くすゾムビー2体の姿があった。
「……やはりここにも居たか……石の……ゾムビー!」
爆破がつぶやく。
「!」
即座に、爆破は通路の奥の方に目をやった。更にゾムビー達が、奥から現れてきたからである。
「まだ来るか……では、ここで試しておく必要があるみたいだな。保管小隊、例の物を」
爆破が保管小隊に指示を出す。
保管小隊とは、隊の物品の受領、検査、保管、払い出し等の業務を行っている小隊の事である。
「ハッ」
保管小隊の隊員が返事し、とあるケースから小さなモノを取り出す。
「パッ」
それを握りしめる爆破。
「(上手く行くかどうか……)石よ……指し示せ!」
爆破は手にした例の紫色の宝石をゾムビーの方へかざした。
「キラッ」
すると、前に立っていたゾムビー2体と、奥から向かって来ようとしていたゾムビーの内、1体の体の一部が、光り輝いていた。
「スマシさん! あの光は……?」
主人公が爆破に問う。爆破は声を大きくして言った。
「ああ。皆! よく聞いてくれ! 今、体の一部が光り輝いているゾムビーは、石のゾムビーだ! 更に言うと、光り輝いている部分に、ゾムビーを強化している宝石がある!」
「……なるほド!」
「へっ、そいうことか!」
そっと言う逃隠と抜刀。二人は走り出す。
「タあああああああ‼」
「オラアアアアアアアア‼」
ゾムビーの、光り輝いている部分の付近を斬りつける二人。
「ゾォオ!」
「ゾ!」
横に真っ二つになり、崩れ落ちるゾムビー2体。その切り口からは、光り輝く石が。
「ピッ!」
「スチャ!」
二人はそれぞれ、剣先に石をのせた。
「やったぜ!」
「後は任せタ!」
後ろを振り返り、言う抜刀と逃隠。
「スタッ」
二人は横に除ける。
「リジェクト!」
「バースト!」
主人公と爆破は超能力を用い、石が無くなったゾムビーを攻撃する。
「ドシャアアア‼」
「ボボンッ‼」
大破するゾムビー達。
「よし! 隊員達は、次に奥から来るゾムビー達を狙え!」
「タタタタタタタタ」
爆破の指示を皮切りに狙撃が始まる。