詩「夏、洗面台にて」


有原野分2023/10/11 10:35
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・詩と思想2023年10月号に入選した作品です。 ※2023年7月の作品です。 読んでいただけると幸いです。 いいね、スキ、フォロー、シェア、コメント、サポート、支援などしていただけるととても嬉しいです。 これからも応援よろしくお願いします。 あなたの人生の 貴重な時間をどうもありがとう。

詩「夏、洗面台にて」

洗面台で顔を洗う

水が渦を巻いて流れていく

小さく震える旅がようやく終わる

排水溝の影に髪の毛が一本または二本

薄い黒色に白い陶器はよく映える

 

渦を描くように

時間は短縮されていく

流れはいつまでも苦々しく

どうしてもやりきれない

顔をいくら洗っても

なにもきれいになんてなっていない気がする

ずっとする

生まれたときから

思えば

これからも

ずっと

 

手のひらに受けた音が

跳ねて

広がって

飛び散って

逃げるかのように

重力は自由だ

最後の運命を誰が予想などできる?

 

大人しく流されていく水のほうがよほど利口

  に見えるのはそれほどぼくが大人になっ

    てしまったという証拠かもしれない

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