第7話 - 1章 〝蜜姫〟
1・ここはどこですか?
...ここはどこ?なんて言葉は、誘拐されたり記憶喪失の人しか使わないと思ってた。だけど、私は名前も住所も学校名も何ひとつ忘れてはいない。
「ここはどこ?」
でも、私はそんな言葉を人生で初めてつかった。
じゃあ、誘拐?私なんか攫っても何も得しないのに。
...それはともかく、明らかに今までいた通学路とは違う場所に私は居た。
もちろん、家の近所でもないし、行き慣れた駅でもない。だって。
私がいる場所は、ヨーロッパのお城を思わせる柱や大理石のような石の床があった。
そんな場所、今まで行ったことない。
「目が覚められたようですね。」
これはおかしい。と思い続けていたところで、誰かに話掛けられた。その声は、若い男性の声みたいだった。
そして、見渡してみたけどこの場所には男性と私以外はいない。
私は、恐怖に震える体と心をおさえながら男性の声がした方へ振り向いた。