いつものように私は 誘われるまま絵のモデルになった
彼は無言で筆をもちキャンパスに色をのせて踊らせていた...
彼の表情はまるで今にもロウソクの炎が消えそうなそんな表情をしている。
そんな彼を見ると私は彼の本能を目覚めさせてあげたくて仕方がない
彼はいつも ある所で手が止まる癖があった。
私が [ねぇーどうしたの?]って聞くといつも彼はこう答えた...
[これは...本物じゃない..]
本物って?..
君の事だよ.. 彼は私の事だと言った...
私は訳もわからなく しばらく..沈黙した...
僕は..君の本物がみたい...
まるで何かにとりつかれた様子で私に迫ってきた。
部屋の中はロウソク1つと 月明かりだけ
夜中の美術室は暗くどこかカビ臭くて 私は嫌いだった...
油絵具の匂い...それも私はどことなく...嫌いだった...
なぜ 私が絵のモデルをしているのかさえ...今はもうわからない...
でも・・・今にも消えてなくなりそうな彼をみると
どことなく...私は彼のいいなりになってしまう自分がいる...