「最高級」の予備校(1)


キョウダイセブン2022/01/05 00:02
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 私は小学校ではローマを習っただけで、英語をやり始めたのは中学校からだった。今思うと、四日市高校に合格して名古屋大学に合格したのだから秀才の部類に入ると思う。英語の成績も良かった。しかし、大学に入学する段階で英語はさっぱり話せなかった。さすがに、

「これは、何かおかしいのではないか?」

 と、疑問を持った。



 今なら理由が分かる。中学校から高校までに習ったのは「受験英語」だった。関係代名詞がどうたら、分詞構文がどうたらと文法学者じゃあるまいし、そんなことを勉強しても自分の意思を相手に伝えるコミュニケーションの道具としての英語が身に着くわけがない。五段活用がどうした、か行変格活用がどうたらと文法を覚えても日本語を流暢に話せるのとは全く関係がないごとしだよ。



 それで、私は名古屋の今池にある英会話学校のECCに通い始めた。また、NHKの語学番組を聞いたり大学の語学センターで英語を学び始めた。その勉強方法は「受験英語」のような文法はまったく出てこなかった。その代わり、スキットと呼ばれる日常生活の会話を覚えて口をならすタイプの勉強だった。一言でいうと、暗記。



 1年もすると、私は英語が“話せる”ようになった。でも、それは九官鳥やオウムと同じで話せるけれどスキットの場面かそれに似た状況だけの話で、自分の考えを話しているとは言い難かった。

How are you?  と聞かれたら I'm fine, thank you. といった具合で、知らない場面になると沈黙するしかなかった。



「こんなことをしていても英語が身につくはずがない!」



 その状態で大学を卒業することになった。塾講師を始めたが、困ることはなかった。中京地区なら名古屋大学の学歴だけで塾講師の仕事はすぐに見つかる。しかし、

「英語を話せない英語講師なんて、やっぱりおかしい」

 と、考えていた。それに、私程度の英語講師などどこにでもいる。講師として生き残るためには差別化しないとダメだと感じていた。



 それで、大学時代に知ったインターンシップというプログラムの試験を受けてアメリカに行くことにした。もう、あらゆる手を尽くしていた気がするので

「現地に行くしかない!」

 と、思ったのだ。帰国したら27歳で貯金ゼロで失業することになるのだが、当時は思い詰めていたから平気だった。



 アメリカの中学生に受験英語で授業をしてみたら

「ミスタータカギは若いのに、なんでジジイみたいな話し方をするの?」

 と言われてしまった。

 帰国後に、英検1級の過去問で練習していたらネィティブの友人が近寄ってきて

「日本人のお前がなんでシェークスピアの時代みたいな英語の本を読んでんの?」

 と言われた。やっぱり、受験英語や資格英語はダメなんだ。



 しかし、客観的なデータがないと誰も耳を貸してくれない。そこで、京都大学の英作文で実験してみることにした。私は受験指導をしているので「受験英語」で英作文を書けるし、英検1級や通訳ガイドの国家試験で教本を勉強したので「資格英語」も分かる。そして、アメリカで生活していたので「ネィティブ英語」も書き分けることが可能だからね。



 その結果がコレ。



京大入試の成績開示

  平成18年、20年(文学部)    正解率の平均  66%(受験英語)

  平成21年、22年(教育学部) 正解率の平均  76%(資格英語)

  平成24年、25年(総合人間) 正解率の平均  79%(ネイティブ英語) 



 いずれも京大に合格するためのボーダーは超えたけれど、やっぱり受験英語や資格英語はダメなんだ。実際に、ネィティブが使っている英語の評価が一番高い。医学部医学科に合格したいなら、私が添削するしかない。だって、赤本も青本も私の目から見ると受験英語なんだもんね。



 でも、こういう理屈を理解してもらえたり支持してもらえるのはほんの一握りの人だけなんだ。他の分野でもそうでしょう?アスリートの世界でも、オリンピックに出場できるのは全国から強化選手を選んで有能なコーチがついて鍛え上げる。



 勉強だって同じこと。選び抜いた生徒に優秀な講師がついて鍛え上げる。そうでなければ、本物のネイティブ英語なんて身につくはずがない。でも、アスリートや芸能界と違って受験の世界で同じことを口にすると叩かれて誹謗中傷されてしまうんだね。



 「ドラゴン桜」や「ビリギャル」が人気になるのだから簡単に分かる。私の優秀な生徒の方たちは小学校の時から医者になりたいと言う子も多い。つまり、5年も10年も努力し続けるわけ。それが、ずっと勉強をサボってきた不良に1年で逆転できるわけがない。そんなありえないストーリーに熱狂する人が多いって、どういうことだろう?



 『林先生が驚く初耳学』(TBS系)で、ハライチの澤部佑が『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(アスキーメディアワークス)について意見を求めた。しかし、林先生は「僕はハッキリ言ってまったく感動していません」とバッサリ。
 その前には「あの話について僕はコメントしたくないんですよ」と、嫌悪感ともとれるような発言を加えていた。落ちこぼれ学生のサクセスストーリーなのだが、なぜそれほど冷たくあしらったのだろうか。
 林氏の話によると、この学生が合格した慶應義塾大学の「SFC」は、英語と小論文で出題されるため、徹底訓練を積めば合格できるという見解だった。小学校や中学受験で勉強していれば、高校の最後だけ勉強しても合格する可能性は十分だそうだ(東大は科目が多いので難しいとのこと)。

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